Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

ポジショントーク

相場の世界では「ポジショントーク」というのがあります。
ある銘柄を買っている株式評論家などが、その銘柄が属している業界を「有望だ」と持ち上げたりする。
まあ、これだとミエミエなのですが、逆に売りを立てておいて
「先行き不安がある」
などとやれば、結構もっともらしく聞こえたりすることもあり、未だに愛用される手であります。
なにしろ、自由経済謳歌している人たちですので、自分の信念に忠実に「経済原則によって人は動く」を地でやっているわけですね。

で、最近、気になっていることがあります。
例の世間を賑わせている加計問題ですが、そこで「石破4条件」は「獣医師会と石破が結託して、決して獣医学科ができないように仕込んだ計略である」という説を(マサカと思いますが)結構信じてしまっている人がいるようだ、ということです。

これは、ちょっと考えれば、大嘘であることがすぐに分かります。

石破4条件が決定したのは2015年ですが、ご存じのとおり、それまで獣医学科の新設は、何十年と一切認められてこなかったからです。
認めるかどうかは、文科省が決めます。許認可権限をもっているのですから、単に「ダメ」といえば、それで適法で、理由もクソもありません。ちゃんと法に則っていますので、それで良いのです。
で、地方創生大臣の石破が「理由もなく拒否はおかしい。理由を述べよ」と(例によって理屈っぽく)やったわけです。
認可しろ、ではなくて、説明しろ、と言ったので、これは文科省は逃げられなかった。
そこで
「いや、獣医師足りてますし」→「足りなくなったらいいの?」
「足りなかったら定員増やすだけですし」→「定員増やすということは、カリキュラムは従来どおりだね?違うカリキュラムが必要になったらどうするの?」
「それは、その違うカリキュラムが必要な需要がないと」→「じゃあ、そういう需要があればいいのね?」
と追い詰めて、認めさせた。
これは大きな一歩だったので、さっそく閣議決定しています。これで文科省側は、ひっくり返すことはできなくなったわけです。
石破4条件は「安倍内閣の意思」ですし、この方針は以後、引き継がれるものになります。

(石破4条件)
1, 現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具体化し、
2,ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになり、かつ、
3, 既存の大学・学部では対応困難な場合には、
4, 近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う。

さて、ここで当の獣医師会の会長さんが困るわけです。
だって、圧力団体ですからね。「獣医師を増やさないようにする」のがお仕事です。
そこに、こんなものが出来たら「会長は何してんのや。アンタがしっかりせんかい、ボケ」
と非難を浴びます。
そこで、会員向けに「この内容では、絶対に獣医学科の新設はできません、とっても安心になりました」と言う。これがポジショントークです。
バカでも分かりますが、今までは
「無条件にダメ」
が、今後は
「条件次第でオッケーになるかもしれない(条件がどんなに厳しくても)」
わけですから、これを「後退」と言わずして、なんと言うのでしょうか?
ルールが厳しいから大丈夫、こんなのは誤魔化しで「ルール無用にダメ」からの後退であることは、小学生にもわかる理屈です。
それでも、オトナは、立場上で気休めをいったり宥めたりするものなんです。

まず岩盤規制を突破するべき、なので、石破4条件ができた。
あとは、4条件を整えれば、規制は突破できる。
これで満点のはずです。

ですから、安倍内閣は、くだんの加計学園が、きちんと石破4条件をクリアしていることを、丁寧に説明するだけで足ります。
ほかに、何も必要ありませんよ。

話は簡単で、ただその1点だけなのです。
なのに、難しい話になってしまっています。
なぜそうなっているのか。
誰の何が印象操作なのか。
あるいは、何が不明なのか。
冷静に情報を見て、判断すれば良いと思います。