Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

またひとり失う

西部邁氏が入水自殺との報に接する。
病気(皮膚ガン?)もあり、執筆活動にも支障をきたしていたようで、本人も昨年から鬱の傾向がでていたようである。
まあ、西部氏はかねてより「死ぬときは自殺」と公言していた人なので、公約どおりともいえるが。
この季節の多摩川では、仮に溺死しなくても助かるまい。
「鬱」と簡単に言うが、鬱の人は本当に死にたくなるのである。前途に、希望の欠片も見いだせなくなる。
そして、なにより、生きていくのが辛くなる。
西部氏も、つらかったのだろうと思う。

氏の死後の魂が安からんことを祈って合掌。

日本の保守論壇も、松本健一氏、渡部昇一氏につづいて大物を失った。
かつての江藤淳氏も自殺だし、渡部氏も奥さんをなくしてからいけなかった。
右派言論人は、見かけよりも繊細な神経をしている人が多いんですかねえ。

まあ、西部氏の思想をいわゆる「保守」と片付けるのは、少々無理があるかもしれない。
西部氏が若かりし頃は新左翼運動に身を投じていたのは有名であるが、転向後も、やはり左翼的な国家主義の尻尾を残していたから。
皇室の女系容認論や極端な反米思想、グローバリズム批判などが、その残滓だろう。
保守というよりも、戦前思想の延長という側面が強かったのではないだろうか。
私にとっては「保守を標榜しようと共産主義を信奉しようとつまるところ全体主義に変わりはないなあ」と考えるきっかけになった人物である。
自分はいい加減な人間なので、やっぱり自由主義がいいなあ、と思う。

本日は、東京では珍しい雪である。
なんとなく西部氏にふさわしいような気がするんですね。