Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

帰省

この年始は帰省してきた。
父の認知症が進行して、母ひとりでは手に負えず、どうにか近所の施設に昨年、入所することになった。
その父に会うためである。

施設は自宅から徒歩15分ほどであった。
大きく、あかるい建物で、スタッフの人たちも親切で感じのよい方々ばかりだった。
父は、異常な眠気があるらしく、いつ行っても眠そうな様子をしている。そういう病気なので仕方がない。
それでも、私が話しかけると、自分の子供だとわかったらしい。
父は笑顔を浮かべて、ベッドから手を差し出してくれた。
その手を握ったら、今度は両手を出して、何度も何度も、私の手をさすってくれた。
冷たい小雨が降っていたので、私の手は冷たかっただろう。

父にとっては、たとえ50を過ぎていても、やっぱり私は息子なのだ。
私も父の手を握って、さすった。
しばらく、ずっとそうしていた。

帰省中は、毎日、施設に通っていた。

次に会えるのは、夏休みになるだろうか。
そのとき、父が私のことをわかってくれるかどうかは、正直なところ、予想がつかない。
でも、私は、父が手をさすってくれた感触を、きっと生涯忘れないような気がする。

ありがとう。