Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

技能オリンピックで日本34年ぶり1位

すばらしい成績であった。出場選手のみなさんの奮闘と、選手を支えた企業、大学に敬意を表したい。
金は5個で、「メカトロニクス」「ポリメカニクス」「機械製図CAD」「CNCマシニング」「情報ネットワーク施工」である。日本のお家芸である生産財で金メダルをとっている。

私の子供の頃「日本は資源がない国です」と、繰り返し習った。
だから、君たち、がんばりなさい、そうしないと日本は食べていけないんだよ。

で、昨年の日本の貿易相手国ランキングをみると、1位は中国(香港含む)である。
貿易額22兆2000億円であり、うち輸入が10兆3700億円、輸出が11兆8300億円になる。
黒字額は1.5兆円弱である。
一方、米国とは20兆4795億円、うち輸入が6兆7589億円、輸出が13兆7205億円。約6兆円の大得意様である。
台湾が6兆3452億円、うち輸入が1兆8023億円、輸出が4兆5429億円。約2.7兆円のお客様である。
日本にとって、最大の貿易相手国は中国であるが、中国にとっては日本は第3位の貿易相手国にすぎない。だから、中国が日本を軽んじてもある程度は容認すべきである、という考えもあるだろう。
しかし、日本を儲けさせてくれているのは、米国であり、台湾である。そのほか、EU全体では日本が3兆円弱の黒字をあげている。

中国との貿易額22兆円に対して、黒字額1.5兆円は、ほぼイーブン取引に近い数字で、ことさら買っていただく買わせていただくの関係でいえば、互いにほぼ対等の関係と見て良い。
対中関係が悪化すれば、中国も困るのである。

さらに、貿易の中身をみると、日本の輸出では「生産財」が圧倒的に多い。実は、中国も加工貿易国であり、国内資源が乏しい事情がある。
そして、高付加価値品については、実は日本の優秀な生産財がないと、生産がとまってしまう。中国自身に高度加工技術がないのである。
一方、人件費だのみの組立作業などは、比較的、移管がしやすい性質がある。これらが中国の主力の生産品である。国内のヤマダ電機で、ハイアールの洗濯機もテレビも見かけない。日本の消費者の要求する高度生産品をつくる能力がないからである。

繊維業界はすでに中国を離れ始めている。経済発展で、人件費が高騰してきたので、インドやベトナムに移り始めている。中国投資リスクの問題も顕在化しており、親中企業として有名な三洋電機も、これからの中国投資は米国経由の間接でしか行わないと発表している。

中国が、13億人の巨大市場をPRする理由はここにある。加工能力、生産能力でなく消費市場の性格をアピールしないと、世界がついてこない。しかし、そのためには「13億人いるから、上位1%の富裕層だけでもビジネスになる」というレトリックが必要だ。つまり、所得の格差を放置しないと、この市場が維持できないのである。

外交は、強いときがチャンスだ。
もし中国が、本当に内実の伴った経済大国になってから、日本が何を言っても遅い。
靖国参拝に端を発した反日デモに世界は驚き、EUの対中武器輸出は中止になった。公平に言って、これは成果といっても良いだろう。中国は、今や世界で珍しい、年率10%以上の軍事費成長を続ける軍拡大国である。

加工貿易立国として、あらたなグランドデザインを書かなければならないと思う。対米追従一本槍を批判するのは当然だろうとは思うが、対米追従を批判し、安易に中国にすり寄るのも非常に危険な選択肢なのである。