Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

「弱気な死人」

「弱気な死人」ドナルド・E・ウェストレイク

この人の「斧」が大変面白かったので、新作を買って読んだ。
いや~、三文ペイパーバックというのは、かくあるべし。

主人公のバリーは、とことんダメ男である。
女房のローラは、南米出身の陽気な美女。
で、とことんダメ男のバリーは、ある日ついに「保険を解約して、現金に換える」ことを思いつく。
ところが、彼らが加入していたのは定期保険。(つまり、掛け捨て保険だ)
で、バリーは妙案を思いつく。つまり、自分が死んだことにして(偽装事故)保険金をせしめるのだ。
とはいえ、米国内でやったのじゃあアシがつく。
そこで、ローラの故郷、南米の小国ゲレラに向かうことになる。
ローラの親族の支援もあり、計画はうまくいったかに見えたが。。。

続々と登場する珍妙なローラの親族が笑える。
その奇妙な親族が、バリーの保険金を狙って、バリーをあの手この手で追いかけ回す。
その都度、追いつめられたバリーが並べるでっちあげ話と偽名がばかばかしく、一方でよくもこんな(妙につじつまのあった)与太話をできるものだと感心。
登場人物が、みんな妙に小悪党で、いじましい。
思わず吹き出す展開の連続で、さて、バリーの計画はうまくいくのか?

やっぱり、ペイパーバックの軽さって、こういうものだろう。
気分転換には、最高じゃないだろうか?
ウェストレイクの小説らしい、リーダビリティの高い、よく練れたプロット。
職人芸とは、こういうものなんだろうね。いや、脱帽。

☆☆。
三つ星をつけるような作品じゃないだろうけど、文句なく愉快なお話。
ま、そういうところで。