Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

こぐこぐ自転車

「こぐこぐ自転車」伊藤礼

自転車エッセイ、なんだけど、全体になんとも言えぬおかしさが漂っていて、思わず読んでいてアハハと笑ってしまう。愉しさに満ちた本である。

著者の伊藤礼は、かの伊藤整の令息である。つまり。大変なお年である。古稀まじか、なのである。この伊藤氏が、ある日突然自転車に目覚めてしまう。で、自転車(ジャイアントの折りたたみの傑作MR-4F)を購入する。それだけではおさまらない。次から次への新車を買ってしまうのだ。6台。おいおい、大丈夫か?の入れ込みようである。

当然、買ったら乗らねばならない。で、著者は自転車仲間達とあちこちにサイクリングに出かける。みんな還暦、古稀の歴戦の強者揃いである(笑)。ゆえに、一日100KMなどという行程は組めない、いや、組まない。ちんたらとあちこちを寄り道し、夜は旅館かホテルに宿泊。美味い物を食って、酒を飲んで寝るわけだ。すでに脱力しているのである。一種の悟りみたいなものか。
いいなあ。
サイクリングというと、ついつい重い荷物を持って野宿というイメージがある。私も、まあ、もうちょいと若いときはバス停だの橋の下だのを利用したこともある。
だけど、還暦すぎたら、もう自由なんである。自由!最高である。

評価は☆☆。
自転車文学として、たいへんおすすめ。
まあ、だけど、自転車文学自体が一般的ではありませんわなあ。
歳をとったら、自分もこんな文章を書いてみたいと思わせる一冊である。