Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

子どもが減って何が悪いか!

子どもが減って何が悪いか!」赤川学

サッカーも大敗して気分が悪いので、もっと暴言な本を取り上げて憂さ晴らしをしよう(笑)。
しばしば、暴言というものは、正論である。
人間が生きていくというのは、あっちやらこっちやらに様々な「配慮」があるんであって、言いたい放題とはなかなかまいらぬわけだ。オトナですからなぁ。
で、ときとして「じゃかましー!この際、言ってやるわい」という勇士が現れる。それが本書だ(相変わらず独断による断定)。

著者は、まず「男女共同参画が進めば少子化は解消する」というドグマを、一気に論破してみせる。そんなもん、データとしては成立しない、OECD参加国の中で「都合の良い」国のサンプリングをしただけじゃん、と暴露してしまうのだ。
で、当たり前ながら「途上国のほうが出生率が高いだけ」だとあっさり指摘する。

で、その次に人口推移から「少子化の原因は婚姻率の低下と晩婚化」だとした上で(実は、みんな衆知の事実だけど)その原因を「期待水準効果」ではないか、と推測する。つまり、自由恋愛になれば、男も女も「期待水準」が上がるので、容易に結婚しなくなるのだ。
考えてみれば、例えば戦乱だの経済崩壊だのがあった場合は、「よりよい相手」に巡り会える可能性が激減するわけで、つまり出生率が上がる。当然のことである。
従って、人口減少は、世の中が豊かになった(都市化した)必然だということ、そして地方は都市化が遅れているだけで、方向としては変わりないのだから、子どもが減ること自体は自明のことであり、むしろ子どもが減ることを前提として社会システムを考えるべきだとする。

特に短期的には「出生率をあげると、労働者人口に対して扶養人口が多くなりすぎ(子どもも老人も働けない人に変わりはない)出生率の低下は労働人口比率を調整する働きともいえる」という指摘は興味深い。
また、今後大量にリタイヤする団塊の世代に対して「子どもをつくらない現役世代に文句をいう前に、自分たちが子どもを作らなかったことを責められるべきではないか。「子どもを作る人、作らない人」という同一世代間の対立よりも、自分たちを支えるだけの子どもを作らなかった世代間の対立のほうが問題のはず。団塊の世代の年金は減っても、それが自分たちの世代の責任であるから仕方がない」という指摘は、絶対政治家にはできないものだ(だって、落ちちゃうでしょ、それを言っちゃあ)

少子化問題を考える書物としては最高だと思う。これが結論で、私は充分納得した。
評価は☆☆☆。当然である。
一読、目からウロコの名著であると思う。