Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

英国流シンプル生活術

「英国流シンプル生活術」出口保夫。

中学生くらいの頃、イギリスにあこがれていた。何を隠そうシャーロック・ホームズの影響である(笑)。ガス灯にステッキ、コート。お茶の時間。ラグビーフットボール、ボクシング。もうすっかり夢中になった。

その後、ちょっと考えが変わったのは、高校に入って「アーロン収容所」(会田雄次)を読んでからだった。英国流の知恵の背後には、植民地の支配者として君臨した牧畜技術に長けた民族としての長年のしたたかさがある。どうも、これは手に負えないな、と思ったのであった。
今思えば「アーロン収容所」の欧米観とはすごい影響力があったなぁと思う。

最近、また英国を見直しているのだが。
というのは、たぶん、日本もこれから英国のようになるだろうと思う予感がするからである。
かつて、世界の七つの海を支配すると言われた英国は、二度の世界大戦が終わってみると、すっかり盟主の座からすべり落ちていた。出口のない不況は国民全体を暗くして「英国病」という言葉まで生まれた。
サッチャーリズムによって、英国は立ち直るきっかけを掴むわけだが、日本の小泉内閣と同じで「格差の拡大」「弱者切り捨て」「好戦主義者」という批判もまた強かった。
人種問題、アイルランド独立闘争、炭坑不況。
ユーモア映画として有名な「フルモンティ」は、失業した男達が収入確保するために男性ストリップ興業をする話だが、実はそれぐらい英国の地方は没落していたわけだ。

だけど、それでも英国人である。
貧しくても平気な顔で、つつましい生活を送り、安い葉っぱでも朝のお茶は大事にする。古いものを大切に使い、家具だろうと背広だろうと、多少すり切れているくらいを良しとする。近所付き合いのパブやハウスを大事にする。

結局、生活とはそういうものなのだと思う。毎日の生活をきちんと大事に一日一日を過ごすこと、そのほかに幸福などない。そういう信念がある英国人というやつは、いささかガンコではあるが、しかし尊敬に値する民族であるなぁ。
特に、私がすごいと思うのは、彼らのユーモア精神である。「自分を笑いとばす」自虐的なあの笑いが、私は大好きだ。
どうも日本人は、よけいなところで生真面目になりすぎるように思う。

評価は☆。
どうということもない英国礼賛本だけど、初期の高尾慶子さんのエッセイのように素直に感心。まあ、とにかく外国というと有り難がる、という意味において、私も立派な日本人だというわけである(笑)