体重100キロを超す巨漢「スモウ・ピッチャー」であることは愉快だが、それ以上に面白いのが、彼が投げるボールがすべて魔球ナックルボールであることだ。
このタイプのピッチャーは、かつて日本に存在したことはないはずだ。しかしメジャーでは、あの松井選手が苦手とするウェイクフィールド投手が有名だ。その前にはニークロ兄弟やキャンデオッティ、チャーリー・ハフもいた。
彼らは、まったく無回転の「風にそよぐ」スローボールを投げる。このボールは、そのときの偶然によって、左右にユラユラ揺れながらやってくるのだ。
その変化は投げた本人にも分からず、キャッチャーも捕球に苦労する。
彼らは、まったく無回転の「風にそよぐ」スローボールを投げる。このボールは、そのときの偶然によって、左右にユラユラ揺れながらやってくるのだ。
その変化は投げた本人にも分からず、キャッチャーも捕球に苦労する。
どこに行くかわからないのだから、コントロールは難しい。どうしても四死球で自滅するケースが増える。あのウェイクフィールド投手も、ノーコン病で悩んでいた。そこで、かつての大ナックル投手、フィル・ニークロに相談した。
ニークロは応えた。
「ただ、ベースに向かってひたすら投げる。それだけだ」
自分でも分からない変化をするボールを、自由にコントロールすることはできない。つまり、厳密な意味で「ストライクをとる」保証なんてない。じゃあ、ストライクを取れなくて良いか?といえば、そうではない。だからニークロは言ったのだ。できないということと、目指すということは違う。目指すのが投手として出来るただ一つのことであり、だからホームベースに向けて一心に投げようということだ。
ストライクは結果であり、ストライクを取ろうとすることだけが、投手に出来ることである。ストライクになったかどうかは結果であって、結果を投手は支配できない。ただ目指すだけだ、と。
ニークロは応えた。
「ただ、ベースに向かってひたすら投げる。それだけだ」
自分でも分からない変化をするボールを、自由にコントロールすることはできない。つまり、厳密な意味で「ストライクをとる」保証なんてない。じゃあ、ストライクを取れなくて良いか?といえば、そうではない。だからニークロは言ったのだ。できないということと、目指すということは違う。目指すのが投手として出来るただ一つのことであり、だからホームベースに向けて一心に投げようということだ。
ストライクは結果であり、ストライクを取ろうとすることだけが、投手に出来ることである。ストライクになったかどうかは結果であって、結果を投手は支配できない。ただ目指すだけだ、と。