Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

ゾディアック

「ゾディアック」ロバート・グレイスミス。

ゾディアックとは、1968年からアメリカで起こった連続殺人事件の自称犯人である。この事件こそ、いわゆる「劇場型犯罪」の始祖といえるものだろう。
本書の著者は新聞漫画を書いていた人で、引退後に、独自で「ゾディアック」の捜査を始める。そのドキュメンタリーが本書というわけだが、彼は結局ある人物を犯人だと名指しするところまでいった。
その犯人といわれた人物であるが、1992年、心臓発作でなくなっている。死の直前、その人物は逮捕寸前であったという。

殺人事件を起こし、新聞社に「犯行声明」を暗号つきで送り、「暗号がとければ自分は捕まえられる」という。その暗号を、ある高校教師夫妻がひょんな着想から解読してしまう。そのときから、この連続殺人事件は一般視聴者、読者が参加できる「娯楽」になってしまうのだ。
少なくとも、ゾディアック事件以前は、このような劇場型犯罪はなかったようだ。
しかし、わが国でもいくつかの事件をはじめとして、このような事件がその後起こるようになってしまった。そういう意味でマスメディアが犯罪の進行そのものに関与し始めた記念碑的な事件だともいえるし、大衆社会が殺人事件すら「消費」してしまう時代のスタートだとも言えるだろう。

評価は☆。
本書自身も「消費」されてしまう対象であり、私が「消費者」の一人にほかならない、という後味の悪さもこめて。

ところで、日本で起きた劇場型犯罪とえいば、グリコ森永事件や酒鬼薔薇事件がそうだろうが、私はなんといってもオウム真理教事件が最大のものであろうと思う。
あの事件のころ、私は今の会社に転職する時期であり、出社日まで毎日テレビを眺めていた記憶がある。その意味で、忘れられない事件である。
そのうち、オウム事件についても書くことがあると思う。いまだに謎が多い事件だという点でも、ゾディアック事件と共通している部分が多い。

「みんなが参加」することが善なのか否か。そういう問題に還元できないという見解が多いのだろうけど
、私は「そういうこと」が本質じゃないのかと思ったりするのだ。