Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

中国に人民元はない

「中国に人民元はない」田代 秀敏。

一見、爆笑の中国ジョーク集。だけど、そんな評価は甘い。だって、これ基本的に「事実」なんだからさ(笑)。

「中国に人民元はない」ですが、そもそも「人民元」は日本の造語で、中国人自身は「人民幣」と呼びます。カタカナであえて書けばレンミンビー。だから略称はRMBです。
なんで「ない」のか、といえば、日本人はRMBを「中華人民共和国」のお金、だと思っているからですな。実際には、RMBの発行は中華人民共和国の成立前にさかのぼるので、中国人民銀行が発行しているお金、つまり「中国共産党のお金」です。

実は、中国にある「人民」とつくやつは、すべて「共産党の」という意味です。

爆笑なのは「中国に地方公務員の汚職はない」です。なぜって、地方公務員がいない。国家公務員しかいないので、そりゃありません(笑)
裁判もありません。「人民法廷」があるわけで、つまり「共産党の裁判所」があります。だから、共産党にとって都合が良いか否かで、すべての犯罪が決まります。裁判で有罪判決が出ても、共産党が「認めない」といえば、それでおしまい。いやあ、素晴らしい効率の国ですな。

ところで、中国工商銀行時価総額は、三菱東京UFJグループの3倍。つまり、株式交換ですぐにMUFGを買収できます。不良債権だらけだった中国4大銀行ですが、中国の外貨管理局が保有する米国債を資本注入し、いっきに償却。まあ、基本的に「金を貸す馬鹿、返す馬鹿」の国なので、いまでも不良債権は現在進行形でじゃかすか増えていると思いますが、米国債もじゃかすかため込んでいるので、また同じ手を使って不良債権を処理するでしょう。ビバ、中華経済!(笑)

それにしても。

普通なら、とっくの昔に破綻するはずのこんな経済(という名に値するかどうか。。。)が成立するのは何故か?早い話が、米国が認めているからなんですな。

前から指摘しておりますように、米国の最大の輸入相手国は中国で、米国からすると「ドル札を印刷すると、安物をじゃかすかくれる国」が中国です。これは、悪くない取引です。日本からすると、中国は「米国に直接輸出するとやばいものでも、タダみたいな人件費で組み立てて輸出してくれる踏み台」です。米国にとって、日本は「ちょっといいものを、中国につくらせてくれる気前のいい国」です。
この3者ずぶずぶの関係がある以上、ある程度はこのままナァナァで進むわけです。
日本がペルシャ湾に行けなくなると、すぐに中国が代わりにいってくれるわけも分かります。でへへ。

ついでに言えば、洪水のような中国の輸出ですが、かつての日本のようにバッシングにあっていません。だって、米国に輸出する企業の半分が米系外資だと言われており、自動車1台の利益の7割が米国に流れる、という話もあるんですから。
未だに、アタマの中が冷戦時代のまんま「米国の覇権主義と台頭する中国」なんて図式をもってちゃ、もう通用しません。何を今更、なんでしょうけど。

評価は☆☆。
必読でしょう、これ。腹の皮がよじれつつ、中国について知ることが出来ます。

ついでに言えば。
著者は、中国に「市場経済」なんてない、と言います。これは、普通の感覚で言えば、そう見えるのかもしれません。
しかし、唯一、説明する方法があると私は思っています。つまり中国は、「中国共産党」という「ひとつの会社」だと思えば良いのです。中国企業が何社もあって、NY市場に上場すると考えるからおかしく見えますが、実態は「株式会社中共」なんです。その中の一部門が「公司」である、と。

ま、どっちにしても、我々の理解を超えているんすがね。