Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

朝三暮四

私は、もともと中国四川省の山奥に暮らしておりました大熊猫と申します。
ゆえあって、重慶の都会の動物園という職場で、演し物をやっております。人々から「珍獣」と呼ばれ、有り難がられるスターの生活ではありますが、それにしても山地にいた頃と違い、俸給生活には違いありませんから、これでも苦労しています。

さて、このたび、とんでもない遠隔地に、いきなり転勤命令が出されるような噂が出ています。なんでも、海の向こうの野蛮人の小日本に行かされるらしい。

その理由というのがとんでもないことで、私は「目くらまし」に使われるのです。

大熊猫の分際の私が聞き及びますに、日中間にはガス田問題、毒餃子問題など、懸案事項が多くあるのだとか。ところが、どうやら日中のボス猿同士が会うのに、まったく双方「成果」が期待できないのだとか。
そんなことなら会わなきゃいいのに、と思うのですが、ボス猿にはボス猿の思惑があるようです。

中国ボス猿は、チベット問題で今や世界から袋だたき。かなり窮地に立たされています。そこで、天安門事件のときの教訓「困ったときは小日本と毛づくろい」です。「ほら、ほら、日本猿は仲良くしてくれるじゃん。みんなもさ、機嫌を直してよ」というのです。
日本猿は、大して尊敬されてはいませんが、それでも西洋猿の中では結構なエサ場を占めていますから、みんな不承不承「しかたねえなあ」という雰囲気を醸し出すのにもってこいです。
かくして、中国猿は、群れの中心部に戻れるのです。

日本ボス猿も、事情は同様です。このボス猿は、リーダーシップに欠けるというので、群れの中でボスの座を追われかかっています。なんとか、ほかの猿の人気を取り戻したいのです。しかし、なんの妙案もありません。あれば、とっくにやっています。
しかし、この日本ボス猿は、中国猿と仲がよいという唯一の特技があります。そこで、中国ボス猿に相談しました。けれども、中国ボス猿だって、ガス田や毒餃子で譲歩はできないといいます。
「しかし」中国ボス猿は言いました。
「うちに、大熊猫がいるだろう?あいつをおまえのとこにとばそう。そうすりゃ、おまえのところの猿どもは、大熊猫が好きだから、おまえの人気も戻るにちがいない」

ほかに、なあんにも成果がなさそうなので、私が「転勤」を命じられるということのようです。

ボス猿たちはそれでいいんでしょうが、無為無策の穴埋めに「海外転勤」を命じられる私の立場にもなってもらいたい。ひどいもんですな。

そういえば、朝三暮四ということわざがありました。
私が、「朝の4つ」の代わりだそうです。とほほ。