Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

ウッドストック行き最終バス

ウッドストック行き最終バス」コリン・デクスター。

名作、である。

ウッドストック行き最終バスに乗ろうとした女性が、結局ヒッチハイクをする。そのうち、一人が死体となって発見される。
モース警部が出動し、事件の捜査に当たる。
誰が娘達をヒッチハイクさせたのか?その男が犯人なのだろうか?
もう一人の女の子はどこにいったのだろうか?やっぱりバスに乗って帰ったのか?
狡猾なる犯人は、わざわざ指紋を残すようなへまをしないので、すべては証人を調べ、モース警部の推理にかかっているというムリな設定(笑)

この作品は、モース警部の推理が右往左往、「あいつが」「いや、やっぱりあいつが」という推理の過程が楽しいので。
そこが、単純な「意外な犯人」「大胆なトリック」で大向こうをうならせるような古典派と違う、いかにもポストモダンな構造なわけである。
あれも、これも、それもあり得る。

評価は☆。
なんというか、、、名作のわりには、あまりにピンとこなかった。モース警部の論理に、どうも感情移入しにくい。どうにも、イマイチのめり込めないのである。
私の小説の読み方は、ミステリマニアとは違うのでしょうな。

それでも、抱腹絶倒、これは面白いと思うのは、途中で出てくる「この町で、犯人は一人」という条件をあげていく場面だ。
この町に赤いクルマは何台、その中で中年の男が何人、とやっていくのである。
いわゆる「フェルミ推定」というものをおちょくったギャグで、思わず吹き出す内容である。
まあねえ。ファインマンも、フォン・ノイマンも、全然感心しなかったアイディアですからねえ。
「科学のふりをした疑似科学」のくだらなさとまとはずれっぷりは最高。

しかし、こんなところばかりを探して読むのも、逆に疲れる読書ですもんなあ。