Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

協調的減車とはなんぞや

東京では、タクシーが増えすぎて、運転手の賃金が著しく低いというので、政策として「協調的減車」をする、という。
こんなものは、カルテルに過ぎないではないか。「なんでも小泉改革が悪い」という結論で昔にもどせば良いという。正直、白痴じゃないかと思うな。

韓国のソウルに行くと、銀のタクシーと黒のタクシーが走っている。タクシーの台数は驚くばかりで、とても東京の比ではない。
タクシー業者は苛烈な競争をしているのだが、そうすると、しばしば客に値段をふっかける「雲助タクシー」が現れる。これは一般の銀色のタクシーである。

これに対して、黒いタクシーは「模範タクシー」と呼ばれる。運賃は、一般タクシーよりも割高である。しかし、彼らは「吹っかける」ことはしない。
韓国では、日本人相手に暴利をむさぼるのは決して悪でない、という考え方はままあるが、そんなちょろい日本人客でも、模範タクシーなら安心して利用できる。

安いけど、ときどきぼったくりもある一般タクシー。高いけど、しかし安心な模範タクシー。肝心なのは、顧客が「どちらでも選べる」ことである。

少なくとも、韓国政府は、ソウルのタクシーを規制して、みんな模範タクシーで塗りつぶすようなことはしてないし、一般タクシーの値段を模範と同じにしろ、なんていう政策もとっていない。

もちろん、どちらのタクシーも、それぞれ、元気に町を走っている。

タクシー会社に、許認可性の運賃を適用し、あげくに台数を規制する。これがまかり通ってきたのは、運送業界に天下る官僚の利権を確保するためであった。

どんな業界にだって、それぞれ景気の波があるものだ。
バブルの時期、赤坂で一時間立っていても、タクシーは捕まらなかった。電話しても「配車の見当がつかない」と平気で言われ、そんな状況でも、タクシー会社はいっこうに増えなかった。

景気が悪くなり、儲からなくなれば、タクシー運転手のなり手が減る。放っておけば、やがて、適当な数に落ち着くはずである。余計なことをすれば、そこにコストと人手と「政府の無策」を責める不満の声が増すばかりだ。最初から「何もしません」とせっかく表明したのに、もとの黙阿弥ではないか。

なんでもかんでも、うまくいかないことは皆「政府が悪い」。
政府は神ではないし、国家は、魔法使いではない。文句をつけたって無駄だ。

そもそも、公的規制とか扶助とか、最後にやむを得ず出てくるものだ。どうせ、ろくなことはないに決まっている。

ウルトラマンだって、変身していきなりスペシウム光線を出す時は、たいがい負けと決まっているのだから。喩えが古くて済みません。。。