Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

究極のセールスレター

「究極のセールスレター」ダン・ケネディ

セールスレターなんて、飽きるほど使われている。本書は、そのセールスレターのバイブル的存在で、今から15年ほど前にアメリカで書かれた本である。
私の商売柄、ちょっと興味があって、読んでみたのである。
この本は、いわゆるハウツー本に近いが、それぞれのハウツーが「なぜそうなのか」を著者なりの考え方で解説してある。それがおもしろいのである。
たとえば、同業他社比で高い商品を販売せざるを得ないセールスマンは多いと思うが、そんな場合は「他のものに比較対象をもってゆけ」が原理原則だと書いている。
客「お宅のクルマは、ずいぶん高いじゃないの」
セールスマン「そうは言われてましても、三輪車ではないのですから、或る程度の値段はしますよ」
ね。客の疑問に対する回答にはなっていないが、論点をずらすことには成功している。

また「料金別納」のスタンプが押してある封筒なんて、全身で「私をゴミ箱に捨てて!」と絶叫しているようなもんだ、とある。
思わず「なるほど」と思うのは、私だけじゃないだろう。

こんな細かいテクニック集だが、示唆を与える部分も多い。そちらのほうが、細かな具体的テクニックよりも、さらに役に立つかもしれない。
「あなたの顧客が、どうしても解決したいと日夜悩んでいる問題を3つあげよ」
ひどく良い質問だと思う。これについて、ちゃんと答えられない人は、そもそもセールスレターを書く文案が出てこないだろう。

評価は☆☆☆。セールスの仕事に携わる人ならば、一度は読むべきじゃないかと思う。推奨したい。

で。
私は、本書を読んでから、さっそく実験をしてみた。
うちの営業マン達が、夏休み前にセールスレターを出すというので、その文案から装丁まで、細かくチェックをして、本書のテクニックをそのまま応用してみたのである。
結果は、120通のDMを出して、現在5件のアポイント取得となって、4.16%となった。
今時のダイレクトメールとしては、優秀なほうじゃないだろうか。もっと伸びるかもしれないが。
アメリカの古典的テクニックは、本邦において充分に及第点をとれることがわかった。
私なりには、理解できたつもりである。

政治とか社会問題とか、こんな風に簡単に実験できれば、ただちに答えを導き出せるのだが、そうもいかない。ポルポトじゃあるまいし(笑)
実験できないものに正否の判定はできないし、歴史は事実の解釈であるが事実そのものではないので、あてにならない。

マーケティングの面白さは、検証が可能だという点で、神学論争をしなくて済むことである。ありがたいことですなあ。