Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

自宅購入

自宅を購入してしまった、、、40過ぎの独身男の顛末を簡単に記しておく。

きっかけは、職場を辞めざるを得なくなったことである。
なにしろ、新興市場の相場大幅下落という一大潮流の中で、折悪しく業績を落としていた我が社の株価は見るも哀れな有様となり、かねてから上場企業の「容れ物」を欲しがっていた某外資系ファンドにすっかり食われてしまったのである。
とはいえ、上場企業の資金繰りは株価と直結する。株価が下がれば、新株発行もできないし、銀行も嫌がる。つまり、直接間接の金融手段が絶たれてしまうので、ほかに選択肢がないのだ。
かくして、会社の支配権は移り、私は連結子会社の役員の身分へ格下げとなっていた。
しかし、である。ことは、それだけでは済まない。

私のように、ほぼ草創期からやってきた「創業の功臣」は、進駐軍には目障りで仕方がないのである。
生き延びる方法は、ひたすら恭順を尽くし、手柄をあげて尻尾をふってみせるほかない。手っ取り早くリストラなんぞして、部下の首をぶらぶら持って行けば、ご機嫌は麗しくなるのだ。
なにしろ、新しく送り込まれた経営陣の連中にしても、恨まれては後がやりにくいのだからね(苦笑)
しかし、Singleはバカなので、そういうことはしなかった。
ここで多少忠義をしたって、結末は見えておるわい、と見切ったのである。

で、役員の任期が今年の1月末であったから、そこで満了としたい、と申し出た。一も二もなく、これは受け入れられた。
本来ならば、14年間つとめた会社で、役員在任期間も10年に及ぶので、それなりに退職金ももらえるはずだが、未だにびた一文なし。
どのような扱いか、それはわかるというものである。。。いざとなれば、役員の身分保障派遣社員以下である。
ま、誰も「元役員村」を作ろうとは言わないが(苦笑)

さて、その退職直前に、気づいた点がある。つまり、これで職歴がリセットされてしまうと、あと3年間は住宅ローンが組めないのだ。
これは悩みどころであった。今の金利と、麻生政権の大型住宅所得減税によって、住宅取得については今有利だと思っていたからだ。なにしろローン残債1%控除が10年、最大500万円は大きい。こんなにすばらしい政策をぜんぜん放送しないで、偽物ばかりの派遣村ばかり報じるマスコミには呆れるしかないが、とにかく、景気浮揚のために住宅を今購入する人は、すごい優遇されるわけだ。麻生さんも、捨てたもんじゃないと思うのだけどねえ。

単純に経済学的に言えば、賃貸の方が負債を固定せずに有利だ。しかし、たとえば都内の住宅事情をみるに、いわゆる高専賃も遅々として整備されない。早い話は、年寄りの入居は困難なのだ。
老後の問題は、特に40代半ばにさしかかった私にとって、現実に見えてきている。
普通のサラリーマンならば、退職金で一括返済を予定してローンを組み、あとは厚生年金で悠々自適の作戦だってある。
しかし、先述の事情で、もはやそういうプランは描けない。
このまま、自力でカネを稼ぎ、衣食住をすべて独立独歩でやるほかないな。そういう考えに至ったとき「じゃあ、家を買ってしまえ」という考えが急に湧いた。

リスクを考えると。このままウマウマとローンを払いおおせたら、家賃なしの住居が手にはいるのだが、ローン返済がとどこおった場合の手だてを考えておく必要がある。
私の場合、先述のような事情で、今の手元資金を除くと、資産がないから、そうなったら耐えきれまい。
しかし、唯一あるのが、手に入れる住宅そのものを資産化する策である。
資産は
・転売する
・運用する
で、お金を生み出すものである。

転売するということになれば、これは、住宅を転売して手放す行為を指す。これもローン返済の一つの方法である。
しかし、問題があって、不動産の相場がどうなるか?である。ここしばらく不景気が続けば、一層下落するだろう。
ただし、盲点があって、マンション相場がひどいのだが、戸建てはそうでもないということである。一部の層にとっては「買いたくても買えなかった戸建てを手に入れる機会」なのだから、しばらくこの傾向が続くだろう。

もう一つは運用であって、つまり「貸し出す」ことである。
実は、首都圏では、地価が下落しても賃貸料の下落に直結していない。いや、ホントはしているのだが、いわゆる「敷金」「礼金」という取引慣行がそれを食っている状態である。
周辺の相場で、戸建て住宅の賃料を調べた。そこでわかったことは、予定しているローン金額以上に、賃貸料がとれることだった。
私が買おうとしいる住宅資金で、頭金の額がちょうど建物額と等しかった。残り土地分を20年のローンで金利計算すると、若干まだ余裕がある。
そこまで確認して「まあだいたい、いいか」と思った。実にいい加減である(笑)

ちなみに、戸建ての場合は、マンションと違って、修繕積立金と管理費がいらないので、その分がローン計算上は有利である。
ホントに修繕が必要になった場合は泡を食うのだが、そこは刹那的思考で乗り切ればいいのである(苦笑)

ただし、「運用」のことを考えて、立地にはこだわった。つまり、借り手がつかなきゃどうしようもない、のである。
このあたりが、本当の戸建て購入派と私が違うところだ。バスに乗っても庭付きで、、、という発想がない。
バス利用物件は、客付けが厳しい。駅から徒歩10分圏内なら、時間表示が一桁であり、有利だ。
その条件だと、必然的に小さな敷地しか手配できないから、3階建てのミニ住宅になる。ま、私には充分である。
歳をとってヨタッタときは心配だが、まあ、一人乗りエレベータでも付けたらいいだろう。二階だろうが三階だろうが、上れなくなったら同じだし。

かくして、東京都内で、土地の安い東側に、駅徒歩10分以内のミニ住宅を持つ運びとなった。
失業したら、家持ちになっていたわけである。いいのか、これで?!
ま、どうにかするしかありませんわな。

住み心地だが、今のところ、充分満足している。
床下も屋根裏もすべて潜って見た。安い住宅だから、柱材もすべてプレカット。現場できざんだ跡がない。
巨大なプラモデルみたいなもんだ。建具も含めて、住設機器はすべてマンション用の統一規格を流用。
匠の技なんて欠片もないのだ(笑)が、設計も施工も、いわゆる合理性のカタマリで、かえって「大したもんだ」と感心することが多い。
何より、自分の家になったとたん、掃除をする意欲が出たのには、我ながら驚いた。

無謀を絵に描いたようなことだけど。
けどねえ、私は思ったのだ。
株式公開をして、その当時、私の金融資産は億を超えたけど、役員は特別利害関係者で、勝手に株の処分ができない。眺めているだけの数字なのだ。
どんなに貧乏したところで、実際に手に入れたモノが多いほうが豊かだと思ったのである。
仮に、その後がどん底でも、その期間だけは得をしたのだから。

もちろん、素直にどん底に転げ落ちる気はなくて、必死にがんばるほかないのだが、今のところ、特に後悔はしていない。
間の悪いやつ、それが私の人生なのだ。その通り、淡々といくだけである。