Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

天のろくろ

「天のろくろ」アーシュラ・K・ルグイン。

サンリオSF文庫で昔買ったのを再読。どうやら、復刊はされていない様子である。
こんな名作を復刊できないとは、、、出版不況のゆえなのか、あるいは日本のSF文化とは、その程度のものなのかもしれませんなあ。

本書の簡単なストーリィだが。
夢を分析し増幅する装置を発明した心理学者のもとに、一人の奇妙な患者が尋ねてくる。
その患者のいうことには、自分が見る夢は、現実化してしまうのだという。
博士は笑って、そういうことはよくある心理学の症状の一種で、治療すればなおるという。
そこで治療が始まるのだが、、、博士は、この患者のいうとおり、彼が見た夢は「現実化」することを知る。
博士は、そこで患者に暗示を与えながら、世の中をよくしていこうと試みるのである。
しかし、深層心理は、そう簡単には操れない。
博士の善意にもかかわらず、結果は皮肉なものが次々と出てきてしまう。

博士は「世界の人口増加による資源不足の解消、飢えの解消」を暗示する。
すると、患者が目覚めたときには、10年前に疫病が大流行し、世界の人口は10億人まで減ってしまっているのだ。
さらに、人口が増えない理由がある。世界は、二大陣営が戦争をやっているからである。
そこで博士は暗示をかける。
「世界人類が戦争をやめるように」
すると、、、世界人類は戦争をやめていた。異星人が侵略してきたのだ(泣)人類は、団結して異星人に防衛戦を行うことになる。。。

まあ、こんな調子で、なかなかうまくはいかないのだが、最後に「ある夢」をみることで、事態は解決する。
ひとつの思考実験の小説として、たいへん面白い作品である。
異星人のくだりでは、思わず吹き出さずにはいられない。

評価は☆☆☆。まさに名作、だと思うのである。

ところで、昨日は、民主党の代表選挙であった。
たった3日間の選挙戦であるから、政策論争もなにもなく、ただ候補者がわらわら湧いて出て、数合わせをするだけであった。
しかし、政策論争をして、もっとまともな選挙を!とは思わない。さんざん政策論争をやった揚げ句の民主党のマニュフェストをみれば理由は明らかである。
実現できもしない論争をやるのは、まったく無駄である。
野田さんの政策で実現できるのは増税だけだろうと、ほとんどの日本国民は知っていると思うがなあ。

そして、その選挙の有様も、まったく過去の焼き直しであった。
民主党は「反自民」でまとまった政党で、本当に自民党に勝ったら、やることがなくなってしまった。そうしたら分裂した。
昨日の代表選挙は「反小沢」でまとまった。たぶん、これでやることがなくなってしまっただろうと思う。

民主党が次の政策をかかげるには、どうしても異星人の侵略が必要なのではないか、と考える次第であります(苦笑)