Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

3月のこと

以前にも、ちらりと書いたことがあるけど、私の知る限り、今の日本のシンガーソングライターでもっとも天才だと思うのは小谷美紗子だ。
私はふだん、クラシックかジャズしか聴かない(声楽が苦手)だけど、この人は別格。天才だから。

気がつけば10月で、あの日から、半年が過ぎた。
それからなんとなく、呆然として過ごしている気がする。
どう言えばいいのか分からないが、私の中で、なにか漠然と信じていたものが、あのときに壊れたのである。
大惨事だとか、悲劇だとか、あるいは原発事故による色々な問題が論じられたりする。だけど、そういうことについて、以前のように論じる気持がしない。理屈はあるが、言葉がでない。
やはり、大きな何かを、少なくとも私たちは失ったのだと思う。

小谷美紗子が、「3月のこと」をうたっている。
無料で公開されているし、ダウンロードも無料。
ただし、うっかり聴くと、涙腺がまずいのですが(苦笑)


スティーブ・ジョブスが言ったように、私たちの心のたった一つの慰めは、やがて私たちにも死が訪れる、という事実だけである。

クラシック音楽では、それを音にしたのはベートーベンの後期弦楽四重奏曲だし、あるいはシューベルトだし、あるいはブラームスクラリネット五重奏曲だろう。
私は、それらの音楽を、アンプに火を入れて、夜に聴くことが増えてきた。

3月のこと。

また、最近は、寒くなってきた。
あの日も、まだまだ、寒い日だったことを思い出す。
暑い夏を越えて、また冬がやってくる。

家族や友人を失い、財産をうしない、思い出を失い、職業をうしない、希望を見いだすことも難しい人々がたくさんいらっしゃる。
私たちは、誰かが悪いことにして、その人を責めることで、心の平安を得ようとする。
だけど、本当は、それでは何も解決しない。
じゃあ、なんとか協力しろ、政治はなにをしているんだ、という。
だけど、政治は万能ではない。

私見だが、3月のことを解決はできないだろうと思う。「もとに戻せ」という意味なら、もう不可能なのだから。

ただ、私もいつか死ぬ、そう思って、ぼんやりと音楽を聴く。