Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

永久機関は存在せず

永久機関は存在しない」熱力学によって証明済のこの命題ですが、いまだに騙される人がおります。
一度動き始めれば、永久にエネルギーを生み出すマシンは、人間のロマンなんでしょうなあ。
ついつい、願望が「現実にあること」とごっちゃになってしまうわけです。

ですが、この「永久機関」が、熱力学上のものであればただちに否定するはずのものですが、ことが経済に移りますと、たわいもない永久機関マジックに人ははまってしまうのです。
以下に、簡単に説明しましょう。

日本国の国債残高はすでに1000兆円の大台確実というお話は皆さんご存知と思いますが、こう言ったらどうでしょう?
すなわち
「日本国債は、すべてが日本人が購入している(実際は91%)。よって、日本政府が発行した国債のお金は政府の財政出動によって、再び民間に移動しただけであるから、絶対に破綻することはない」

政府が国債を発行しますと、民間が買います。すると、お金は政府に移動します。民間は国債を受け取ります。
政府はお金がないので、国債を売って得たお金をじゃんじゃん使います。
使ったお金は、民間が受け取るわけで、それによって民間はお金持ちになります。(国債+政府出動のお金を持つことになる)
すると、どうなるでしょうか?
民間はとてもお金持ちですので、再び政府の国債を引き受けることができます。
すると、国内消化を続ける限り、永久に政府は国債を発行しつづけることができて、破綻しません。
見事な経済版の永久機関の出来上がり!となります(笑)

この話の奇妙さは、すぐに誰でも気が付くことができます。
つまり、これが事実であれば、国民はだれも働く必要がありません。寝ていても、永久に税金で食べられる(笑)夢の無税国家が誕生します。
永久機関がホンモノであれば、エネルギーはタダで得られるのと一緒です。

残念ながら、あり得ません。

よく考えてみますと、先の国債発行の例で行けば、国民資産のうち半分が国債、半分がお金となっています。国債の裏付けは、国民の将来のお金(納税)です。国債の償還ができないために、また国債を発行するということは、そのぶん将来のお金を渡すことになります。その比率がどんどん増えていくと、どんどん将来のお金を渡すことになります。そうすると、今持っているお金の比率はどんどん下がっていきます。これでバランスをとればすごいインフレになります。
また、国債の償還ができないときは、むりやり国民がもっているお金を取り上げるしかないこともわかります(預金封鎖です)
預金封鎖すれば政府は破綻しませんが、民間が強制的に肩代わりするだけの話です。

難しい話ではなくて、フリーエネルギーはない、無から有は生じないというだけの話です。
永久機関はあり得ないといえば、ごく当然の話ですね。

それでも、話の対象が経済になった瞬間に、永久機関があるのではないか、無から有が生じるのではないか、と人間は思ってしまうのです。
つまり願望が、「現実にあること」とごっちゃになってしまうのですね。

結局、人間の夢なんでしょうなあ。