Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

牛野家に思う

あの「吉野家」が、牛丼一杯280円を打ち出し、話題になっている。
以前は380円だったから、100円の値下げである。
この価格で100円はきびしい。
しかし、吉野家は、前期決算が赤字であり、このままでは競合との競争に勝てないと判断したようである。
競合の「すき家」「松屋」は期間限定といいながら、250円の価格を打ち出しているわけで、このままでは一人負けの危険を感じたものであろう。なんだか「仁義なき牛丼戦争」になってしまった。
アベノミクスでデフレ打破のはずなのだが、リアルな商売現場はまた別なのである。
政策なんか頼りにしていたら、会社がつぶれてしまうからね。

ところで、インターネットで有名なのだが、タイに「牛野家」なる店がある。
店舗デザインは「吉野家」にそっくりである。
もちろん、主力商品は牛丼。
これが、なかなか本家に負けず劣らずで、旨いらしい。
日本人もよく行くそうである。

で、気が付いたのが、この「牛野家」の牛丼、一杯が120バーツなのだそうである。
日本円換算、およそ360円だそうで。

つまり、低価格フードについては、ついにアジアで同じ価格、あるいはタイのほうが安い、という現象が起きてしまった、ということである。

ユニクロが、ついに「世界同一賃金」を打ち出して、話題になっているのも同じ現象である。
商品が、同じ価格で売れるエリアならば、賃金も同じでないとおかしい。
これについては、ユニクロの考え方のほうが、リーズナブルである。

しかし、そうすると、多くの日本人の給与は下がるしかない。
今の商品価格から考えると、日本人の賃金は高すぎる。だから、世界で売れる商品がつくれない。
貿易赤字が3兆円だというので、原発再稼働しろという意見もあるが、よくよく見ると、燃料費は1兆円くらいの増。あとは、単に輸出不振である。売上がないから赤字になるのだ。単純な話である。
売れるものをつくれなくなったのだ。

貿易赤字だから国富流出だ、なんとかしろという話ならば、日本人全体の賃金を下げるのが一番早い。そうすれば、輸出が回復して黒字になる。国は富むが、国民は貧乏になる(笑)。バブル経済のころがそうであるのだが、国の貿易統計が国民の経済状態となんら関係がないことを、いまだに理解できないもんかねえ。
それをいったら、ポルトガルなんざ(ぶつぶつ)

「同一労働、同一賃金」を唱える左翼の方々も、じゃあと「世界同一賃金、これこそ素晴らしい」という主張はない。なぜか?彼らは、国内の労働組合の利益代表をしているだけであって、労働者の賃金切り下げには反対するからである。
ちなみに、世界同一賃金になってしまうのは、グローバリズムによって、国ごとの価格差が利潤の源泉になるからである。
低賃金の輸出国は、それによって国民経済が向上して、賃金が上がるので、先進国とおなじになっていく。
論理的に考えると、世界レベルで「同一労働、同一賃金」を実現するのであれば、グローバリズムに賛成するのが正しい。
しかし、実際には、その逆の人が多い。
人間の理屈というやつは、普通に考えると、どうもわからないことが多いものである。
国内労働者のことしか考えないのであれば、これら左翼こそ、まさに国粋主義者ではないのかね(苦笑)

アベノミクスは、為替レートの切り下げによって、実質上日本人の賃金を下げる効果がある。
その行き付くところは、もちろん「国際競争力がある水準」なのである。
そこまでくると、国内生産の有利も回復して、金が回り始める。
貿易的には、仮に中立(黒赤トントンの効果)であっても、国内で金が回れば、景気はよくなる。
金は、流出流入ではなくて、回っている速度が重要なのである。

大金持ちで、ビタ一文使わない。そんな人は、本当に豊かな暮らしとはいえない。

稼ぐと使うのバランスを回復することが、もっとも大事なんですがねえ。