Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

みんな自分がかわいい

すでに遙か昔の話だが、大学の授業で刑法の時間に、こんな話があった。

落盤事故で2人の男が閉じ込められる。
ただちに救助部隊が動き、12時間後に救出する、それまで頑張れということになった。
ところが、問題がある。
男たちが閉じ込めらた狭い坑内の酸素は、12時間もたないのである。
ただし、人数が2ではなく「1」になれば、その人は生き延びられる。
さて、男2人はどうしたか?

12時間後、一人の男が救助された。もう一人の男は、すでに死亡していた。
生き残った男が何をしたかは、容易に想像がつく。
さて、この生き残った男には、殺人の罪が適用されるか?というものである。

回答は「無罪」である。
この場合「緊急避難」が成立する。

人は、自己の生命が危険になった場合に、自己の生命を優先する行動をしてしまっても、それはやむを得ない。生きたいと願うのは、人の本能である。これを罪とすることはできないのである。

さて、韓国では、客船事故で船長以下の乗組員が我先に、逃げ出した。
我が国でも、実は311のとき、福島第一の職員のうち9割が逃げてしまったことが判明した。

これらに、もちろん単純に緊急避難の法理が適用されるわけではない。
しかしながら「他に方策がない」場合には、立派に成立するのである。

人間は、皆が英雄のわけはない。
皆が自己犠牲の天使になれるわけでもないのである。
だから、それらの行為をなした人は尊い
ふつうの人には、できないことであるから。

システムというのは、それを支える人が英雄だったり天使だったりすることを前提にしてはならないし、それを操作する人が神であることも想定してはならないものだ。

そういうことを、もっと考えても良いように思うのである。