Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

税務署は見ている

「税務署は見ている」飯田真弓。

商売をやっていると、どうしても税務申告を自分でやらなければいけなくなる。
よって、税に関心を持たざるを得なくなるわけである。
サラリーマンのときは、会社が天引きしてくれるので、正直なところ「手取り額」にしか関心がなかった。
もちろん、額面と手取りの差が税や社会保険費用だとアタマではわかっているのであるが、アタマでわかるということと、肌身に沁みることは違うのである(苦笑)。

本書の著者は、長年税務署職員で活躍された方なので、ついつい期待(苦笑)をしてしまうわけだが、本人が冒頭で断っているとおり「節税テクニック」の解説はない。
まあ、真面目に納税するのが一番です、という無難な(笑)内容になっている。

それでも、参考になるところは、いくつかある。
まず、税務署職員を本気モードにさせるセリフ(!)が3つあるのだが、そのうちの一つが「税理士に任せてある、おれは知らん」というやつ。
では、どう説明するんですか?と突っ込むと、残り2つのセリフが出るという仕掛け。
「忘れた、そんなことはいちいち覚えていない」
「勝手に調べたらいいだろう」
税務調査は、本人の協力が原則なのである。その本人が「調べろ」とおっしゃっているので、もはや、何の問題もないわけである(笑)。
これは最悪のパターンだ、ということだ。

とりあえず、真摯に協力するにしくはない、ということのようである。

また、税務調査先をどう選ぶか?という話だが、これには、著者は明快な回答を与えていない。
もちろん、各種の調査がされていて、それに基づいて、ということなのだが、それ以外になると「なんかニオうんだよね」などという話である。
まあ、確かにリアルである。
それ以外に、著者がさりげなく、何回も注意しているのは、実は通報なのである。
儲けすぎたにも関わらず、社員に還元しない社長は、恨みを買っていると思って間違いない。本人は気づいていないが。
で、ある日突然、、、となるわけである。
一人だけ大儲けをすると、いつか必ず報いが来ますよ、、、という忠告である。
従業員のほか、別れた奥さんや愛人などの通報は、非常に重視されるらしい。

評価は☆。
なるほど、ねえ。
もちろん、脱税をしようというのではないけれど、やっぱり税務署というと、みんな身構えてしまうわけだ。

真面目にやるのが一番ですよ、というのは、平凡で面白くないわけだが、まあ、それに尽きるのでしょうなあ。

ところで。
米国では、今、大統領選挙でたいへん盛り上がっているようだ。
日米の差を色々と感じるのだが、米国では、税は基本的にサラリーマンであろうと自主申告納税という制度の差が一番大きいと思う。
米国人で「自由競争、小さな政府」を支持する人が多いのは、米国人が利己的で、日本人が互助精神にあふれているというわけではないと思う。
日本人だって、給与天引きをやめて、自分で毎月の税と保険料、年金を支払ったら、それは意識が変わると思う。
この金額が増えてもいいから、社会的なセーフティネットを拡充するべきか、それとも福祉は多少我慢してでも、手取り収入を増やしたほうがいいか?
米国のように、政権が変わればドラスティックに税が変わる国ならば、そりゃあ他人事ではない。
自分の支持する政治家のパーティにもいくし、献金だってするわけだ。

投票率の低下など、簡単に解消できる手は、給与天引きの特別徴収制度をやめれば一発だと思う。
どこのか政党で、まずはそれを公約にしませんかね?
そしたら、結構面白いと思うのである。