香港で国家安全法が成立した(中共が成立させたわけですが)とたんに、いきなり逮捕者が出たようです。「香港独立」の旗を持っていた、というのが犯罪だということです。
ようするに、さっそく「見せしめ」です。l
それにしても。
香港は、ずっと金融センターの地位を保ってきました。香港ドルは米ドルにペッグ(レートを固定するように操作する)しており安全でしたし、通貨の自由が最大に与えられるという制度、さらに有利な税制(タックス・ヘイブン)という条件でした。
対中投資は、大部分が香港経由で行われたはずです。香港なら、配当への課税がほぼゼロなのに加えて、大陸であげた利益を直接持ち出せないのでいったん香港に送金して、香港で操作して利益を持ち帰るようにできたからです。
今回の措置によって、英米は揃って香港への優遇措置を廃止しました。
これによって、ニューヨークやシティと連動した香港の金融センターとしての機能が停止することになります。
かんたんに言えば、「香港は終わった」のです。
中共は、かわりに上海があるじゃないか、と思っているのでしょうか。
しかし、上海は香港の代わりにはなりません。通貨の自由性がないからです。上海は、あくまで「人民元のセンター」にしか過ぎません。
中共は、人民元を国際通貨にする(できる)と思っていますので、もう香港はいらない、目障りだと切り捨てた。外資導入という役割は終わったと思ったのでしょう。香港がなくても、大陸の市場がほしければ、上海経由で直接投資してくるしかないぞ、ということです。
さて、今後はどうなるでしょうか。
最近、米国に代わって大国として世界に君臨する姿勢を隠さなくなった中共ですが、私は、通貨についての認識は甘いと思っています。
今回の決断は、中共のミスじゃないかと思います。
実際のところは、あと数年で判明するでしょう。
それにしても、急に態度がでかくなった隣人がいると、なにかと草臥れるものだと思いますなあ。