私はメガネ族である。小学校の頃は視力両眼1.5であった。中学に入って、急速に悪化してメガネ族になった。読書ばかりしているので、親が口うるさく注意し、それがうっとうしくて寝たふりをしてホタル灯の光で本を読み続けていたら、あっという間に悪化したのである。
うちの母親は、読書なぞするよりも家の手伝いをするほうが遥かに有意義であり役に立つという信念の持ち主であり、読書なんかをしすぎると馬鹿になると信じていた。今でも信じている。日本海側の山中の中学卒の娘の常識ではそうなのだ。
で。中学からメガネ生活になり、その後、大学ではコンタクトにした。社会人になって、メガネに戻した。新卒で入社したコンサルティング会社で、毎日帰宅が日付変更線であり、研修で週末は夜中の2時3時みたいな生活で、コンタクトをいちいち着脱するのは無理だと思ったのである。実際に、外し忘れて目が激痛に襲われて(半日寝たら治ったが)あきらめた。
ゆえに、トータルでゆうに40年ほど、メガネ生活をしていることになる。大ベテランである。
で、メガネというものは、意外に汚れる。レンズをきれいに保つことは、非常に大事である。
最初は、メガネ屋がオマケでくれるセーム皮や不織布のメガネ拭きで、レンズを拭いていた。そのうち、メガネ買い替えのたびに、レンズが細かな傷だらけになっていることに気が付いた。
原因は土埃である。土埃のなかには、微細な砂粒が含まれている。この砂粒の成分はケイ素であり、モース硬度6であり、かなり硬いのだ。一方、メガネレンズはプラスチックである。土埃がついた状態でメガネ拭きでレンズをこすると、ケイ素がプラスチック面を傷つけるのである。
このメカニズムに気が付くまで10年以上かかった。
気が付いてから、独自にメンテナンス法を開発した。ポイントは2つ。
1.傷の原因となる土埃を洗い流す
2.視界悪化の原因となる油分を洗い流す
この2点をクリアするには、流水で中性洗剤で洗い流すのが最良なのである。
今では、事務所に出社すると、この儀式を行う。事務所の洗面所に行き、メガネレンズをまず、流水で軽く流す。ここで、土埃をとる。次に、中性洗剤を一滴、メガネレンズに落として指先で軽くこすり洗いする。流水で洗剤を流し、最後にティッシュペーパーで水気をきっておしまい。
この「儀式」を、毎日、出社後に一番にする。
すると「今から仕事」のスイッチが入る、という仕組みである。
今日も、そんな儀式をしてから、パソコンに向かっているのだ。自分のペースを保つための儀式。誰でも、そんな儀式を、何かしら持っているものじゃないのかな、と思っております。