Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

純米酒を極める

純米酒を極める」上原浩。

骨折治療中で、昨年末から禁酒している。酒を飲むと治りが遅くなるからだ。
そうすると、「解禁日」が待ち遠しい。
さて、何を飲むか?
たぶん「日本酒」だろうなぁ。ビールもワインも黒糖焼酎もウィスキーも好きだが、やっぱり日本酒だ。

そういうわけで、この本を再読した。
日本酒の本は様々あるけど、駄本も多いわけで、この本は一級品である。

実は、日本の清酒は米国ではほとんど「リキュール類」として扱われる。家庭でつくる梅酒と同じで、果実酒にアルコールを加えればリキュールである。清酒のうち、販売量の多い普通酒および本醸造はアル添されているからリキュールだ。こんな酒が、生産国である日本では「清酒」として売られている。
醸造アルコールの原料は、コストダウンのために廃糖蜜さとうきびの絞りかす)や水草ホテイアオイの仲間、成長が早い)を使っている。こんな酒を飲むから翌日アタマが痛くなって日本酒は嫌いだといわれるのである。
本当の日本酒は純米酒純米吟醸または純米大吟醸だけである。コメと麹と水を使って作るのが日本酒で、副原料があるものを日本酒と言わないし、醸造酒ですらない。
アル添のワインなんぞ存在するわけがない。

最近、発泡酒増税されるというので、また小泉改革がけしからんと言う批判がある。
私は、全然違う考えがある。けしからんのは旧来の酒税法のほうだろう。
まがいものの酒を大量につくって、税金さえたくさん取れればよいと言う法律だから理念がない。

酒は文化である。ことに醸造酒においてそうである。
フランスはワインを大切にし、ドイツはビールだ。日本の清酒もビールも添加物のために認められない。
ドイツではビールは大麦と麦芽とホップでつくるもので、副原料にコメを使った日本のビールはビールじゃない。日本のビールではモルツとエビスだけ(地ビールのいくつかを含む)だけがビールだ。

まがい物は安く作れるので、その分重税を課して、本物の作り手の酒は税を軽くせねば、文化とはいえない。清酒ならなんでもアルコール量によって課税、合成酒(!)はさらに安い税では理念なき税制だ。
発泡酒のごときは、税が安く原料も安い上に生産が工業化できる。もっと重税で良いだろう。
そのかわり、本物のビールの税を安くすべきだ。

まして、日本酒は、日本の国酒だ。国酒にふさわしい扱いをするべきだと思う。

本の評価は☆☆☆。
日本酒に関する本は、これ一冊読めば足りる。

それにしても。
南部美人」「東洋美人」「上喜元」「加賀鳶」「南」「有の川」「千代むすび」「春鹿」「早瀬浦」「日置桜」「諏訪泉」「山桜桃」「神亀」「大七」が飲みたいよう。。。
うまかった酒の記憶だけは鮮明によみがえるこの頃なのだなぁ。