Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

グッド・シェパード


映画の原作本(または、映画が先?)。アメリカCIAの創設メンバーの一人が主人公。
帯に「国家か家庭か?云々」とあったので、そんな苦渋の選択が描かれるのなら面白いと考えて購入。

主人公のエドワードは、自殺した海軍軍人を父に持つ。その父の最期は、彼のトラウマになっている。
エドワードは、米国の名門大学イェールに進学。そこで才能を認められ、有名な秘密結社「スカルアンドボーンズ」に入団。
結社は、連合軍OSS(戦略事務局)のリクルートに関わり、そこでエドワードがスカウトされる。
1947年、OSSはCIAに改組。エドワードは、諜報活動にのめり込む。
家庭を顧みず任務に邁進するエドワードに、妻との間に距離が開き始める。離婚こそしないものの、二人の間の溝は埋めようもなくなる。
やがて、彼らの一人息子が成人。彼が志願した職場はCIAだった。。。

評価はナシ。これはつまらんなぁ。

ネタバレしちゃうけど、帯の「国家か家庭か」って、単に「多忙で家に帰れません」という状態を指すわけ。つまり、「会社と私とどっちが大事なの!?」という最終兵器(笑)と同じなのだ。
これは、確かに厳しい状況であるが、しかし、そこまで壮大な話じゃないだろ、普通。
もうちょっと辛辣に評すると「馬鹿な女は男の理解ができない」というハリウッド映画そのもののテーゼから一歩も抜けてません。むむう。

周囲の人間が続々と「裏切り」のワナに落ちていく、気づいたら主人公の周囲に誰もいなくなっていた、、、という話の骨格だけど、これも新味が乏しい。いかに大学時代の恩師が実はスパイだった、というどんでん返しがあったとしても、その人物がホモじゃあ感情移入のしようがないなぁ。私は、そっちの趣味がないもんで。

ただし。
ま、人生の寂しさとは、たいていこんなもんだ、ということも分かるのである。必死に打ち込んだ仕事を評価してくれるのは敵だけだったり、家庭と仕事の両立ができなかったり、配偶者を選んだ時点で実は大きな岐路だったり。
そういうことの積み重ねが、ついには老年に至ると、決定的な状況につながってしまう、それは十分に理解できる。
理解できるからつまらないのである。

たとえをしてみると。
とてもよく当たる占いがある。その占いは、生年月日でも手相でもない。必要なのは、あなたの両親の職業と年収、それとあなたの最終学歴と職業、同じく配偶者のデータだけである。
ほら、そうすれば、かなりの精度であなたの人生を予言できます。。。ね?!たとえそうでも「たまらん」でしょ?「よけいなお世話」でしょ?

小説なんだからさ。少しはサービスしてよ。ね。

*付記
ちなみに表題の「グッド・シェパード」とは「よき羊飼い」であり、聖書で神に仕える者のこと。CIA職員が、アメリカという神に仕える仕事だということ。なんだかなぁ。