Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

もうしません?

「last call」と目の前の黒いドレスを着たおねえさんが、低く歌うように唱え、僕らはだまってテーブルの上のチップを見つめる。彼女の発音は「ラストコール」ではなくて「ラスコー」と聞こえる。
ここはフィリピンのカジノである。
私は、先週末から今週の休暇をはさんだ日程で、マニラに来ていた。

あやしげな店に行くと、驚くばかりのスタイルの良い美女がぞろぞろと出てきて踊る。
ニヤッと笑った支配人が「どれでもいいぞ、好きなのを」という。
しかし、100人くらいいて、いったい何を選べというんだろう(苦笑)私は退散してしまったのだ。日本男児、うしろを見せて逃げる、である。ああ、情けない。。。

で、サンミゲールという現地のやたらうまいビールを飲んでいた。日本価格から考えたら、冗談みたいな値段である。
おまけに、今は夏で、気候は30度以上ある。もっとも、湿度が低いから、日本のようにムシムシしない。
「絶好だ!」と喜んでビールを飲みまくっていたら、、、はい、痛風がぶり返ししまった。

こうなると、あとはもうすることがない。
いや、仕事で来たので、仕事はしている。しかし、オフタイムは、ホテルにねころがっているしかない。
無為徒食しているくらいなら、博奕でもしたらどうだ、と孔子さまもおっしゃった。
そうだ!痛風もちが、座ってできることといえば、それしかないではないか。
で、私はホテルのカジノへやってきたわけだ。
ブラックジャックのテーブルに座り込んで、さっきから冷や汗をかいている。

「last call」ディーラーのお姉さんに、一同うなづく。
そしてカードが配られる。
エースが来た!ディーラーは2を引く。チャンスだと思う。
2枚目のカードは、今度はこちらが3、ディーラーは5。考え込む。

ディーラーに絵札が出ても17どまり。このテーブルのルールは17までmust。
いずれにしても、ここはいくしかない。指でテーブルをたたく。おねえさんはカードをよこす。な、な、またエース!
これでは、攻めるほかない。もう一枚!今度は3だ。どうなっている!?
「eighteen」おねえさんの声に、はっと我にかえる。そうだ、18。もう、よくなる気がしない。「ステイ」
「stay?」
ディーラーのおねいさんに、うなづく。

ディーラーは、ゆっくりとカードを引く。
「4」「J」。。。。ブラックジャック

一同、ためいきをつく。500ペソのチップが消えていく。

こんな調子で、すっかり有り金をやられた私は、ひたすら帰りの成田エクスプレスの料金を調べていたのであった(泣)

いや!これは負けではない!次回のために、パッコア銀行に預金しただけだ!
そう無理に思い込もうとする。ひきつった笑いである。

海の向こうまで行っても、ついてない奴はとことんついてないのに、変わりないのであった。無念じゃ。