Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

私は猫ストーカー


著者は、30過ぎの女性独身イラストレーター。
猫が好きで、飼っているのに、ときどき町に出かけては野良猫をストーキングするのである。
猫たちは、都会の片隅で、あるいは埋め立て地の工業地帯で、はたまたマルタ島で、逞しく生き抜いているのだ。
なのに、なぜか、あんまり頑張らない。
テキトーに、かつ、真剣に生きているのである。
そんな猫たちとの交流(は、なかなか成立しにくいが)を書いたエッセイ集である。

そういう内容であるからして、とりたてて、どうということはない。
猫ばかりを追いかけていると、妙な人に見られるので、あわてて携帯電話を取り出して調べ物のふりをする、というあたりがリアリティがあるくらいのものである。
しかし、緊急時に「猫のトイレを借りられないか」と真剣に考えているくだりでは、思わず笑ってしまった。
実は、私も考えたことがあるからだ。
もちろん、考えただけで実験していない。うちの猫が、トイレを貸してくれないからである(苦笑)。
大事な縄張りですからなあ。

評価は☆。
肩肘張らずに、ごはんを食べて昼寝して、ちょっとトイレにいって、そこらをパトロール
それでおしまい。
猫の日常なんて、そんなもの。
我々人間は、そんな毎日が続くと「ああ、退屈だ!人生の無駄遣いだ!もっと生産的なことをやらねば」と思う。
しかし、本当にそうだろうか。
毎日、ご飯を食べられて、風のニオイをかいで、春になればそこらの草にも小さな花が咲く。
それだけで、この世界が何もかも愛しいと思える。
人間の世界で、何かを成し遂げるのは素晴らしいが、しかし、素晴らしいのは一つじゃない。
何も出来ない人にだって、素晴らしいものは、ちゃんと用意されている。
たとえば、それが猫だと思うのである。
あんな毛だらけの、ふわふわ、暖かい生き物が、そこらにゴロゴロとしててごらんなさい。
もう、それだけで幸福だ。

最近は猫ブームらしい。
なんでかな?と考える。
私が思うに、今、なにかと堅苦しい世の中になりつつあるんじゃないだろうか。
もちろん、自己責任は世の中の原理原則であり、おしなべて競争社会でもあるので、ぼやぼやできないし、ルールは守るべきだと思う。
ただ、いつもそう言っていては、正直なところ、身が持たんではないか。
テキトーに、気を抜くことも、たまには必要なのだ。
だからこそ、猫なんじゃないかと思う次第。

つまり、こんな本を真面目に読んで、書評なんかしちゃダメってこと(苦笑)。
日曜日にごろごろしながら、適当にぱらぱらっとやるのが正解だ。

実は、昨日そうしたんだけどね(笑)。