Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

超バカの壁

「超バカの壁養老孟司

一応「バカの壁」続編というタイトルになっているけど、まぁ「応用編」とでも言うべきか?
つまり「バカの壁」があまりに売れたもんで、読者から「あれやこれや」と質問状がどっさり届いたらしい。いちいち返事を書くのも労力のムダであるから、本書が上梓されたということのようだ。
だから、取り上げた内容も「自分の問題」「少子化の問題」「テロの問題」「靖国問題」など、おそらく質問が多かったと思われるものばかりである。

こういう本を書くことは、ずいぶん勇気がいるだろうな、と思う。形而上的な「学問」を論じていれば良いのではなく、実際の問題に関して書くことは、ある意味で「返り血」を覚悟しなければならない。
養老氏だって、ずいぶん今まで「返り血」を浴びたはずで、それがわからないはずがない。
しかし、それは分かっていて書かれた本である。
本書を上梓したこと自体を、私は尊敬する。氏が、東大を退かれたのは、泥をかぶる覚悟ができたからだろうと思う。
年齢を重ねるとは、こういうことかと思う。本書で書かれた内容でも、解剖の献体を受け取る際のトラブルについて「私が出て行って、最悪殴られればそれで済む」と、飄々と書かれている。それを積み重ねていけば、仕事はできるようになるのだ、という。すごい胆力だと思う。
その程度の覚悟は、すでに養老氏にとっては大したことではないのかもしれない。私は、遙かに遠く及ばない。

内容についてだが。
私は、本書の見解のすべてに賛同する。養老氏が結論にたどり着くロジックが、あまりに自分に似ていると思い、驚いた。(だけど、たぶん、私の勘違いだろうと思う)

たぶん、これからも、自分自身の立ち位置を確かめるときに、この本を再読、三読するだろうと思う。本書は、私を勇気づけてくれる。
書棚の手に取りやすいところに納めた。

評価は☆☆☆。もちろん、私にとっては、である。
世評がどうであるか、これくらい関係ない本は珍しいだろうなぁ。