Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

マネーロンダリング


日本における代表的リバタリアン橘氏マネーロンダリング(マネロン)に関する親書である。マネロンとは何か?日本語では「資金洗浄」というが、要するに「脱税」「非合法ビジネス」などで手に入れた金を表に出す(わかりやすくいえば、使えるようにする)ことである。

ちょっと前に、米国の金融制裁という話があった。あれは、米国がマカオのバンコ・デルタ・アジア銀行の「コルレス口座の開設、維持、運用を禁止」しただけの話なのである。コルレス口座とは、ドル決済のためのニューヨークにある銀行口座のことである。

たとえば、私が地元のA銀行にドル建て預金をしたとする。私が預ける通貨は円である。A銀行は、私の円を三菱東京UFJ銀行の国内コルレス口座に入金する。すると、引き替えに、三菱東京UFJ銀行のニューヨーク支店のA銀行名義コルレス口座にドルが入金される。
A銀行から見ると、三菱東京UFJ銀行に円を送金したら、ニューヨークの三菱東京UFJ銀行の自分の口座にドルがその分増えたように見える。それで、送金は完了となるわけだ。実際には、円は国内から一歩も動いていないし、ドルも動いていない。口座間のデータとしてだけ行き来する。
三菱東京UFJ銀行は、もともと東京銀行で「コレスポンデント銀行」をやっていたので、伝統的にコルレス口座を沢山扱っている。

現代では、お金とは「データ」そのもののことである。「データがなくなった」ということが「お金がなくなった」と同じであることは、社保庁の「消えた年金問題」で明らかである。

評価は☆☆。かなり面白い本である。
実は、「租税回避行為」だの「移転価格税制」だの、国際税務については相当昔に勉強したので、だいたいのことはわかっていたのだけど、ライブドア錬金術などは「なるほど」であった。カジノを使った資金洗浄の話なども初耳である。面白いことを考えつく人もいるものだ。


さて、金融制裁を受けた北朝鮮は、コルレス口座がなくなったので、ドルでの送金ができなくなってしまった。問題のバンコ・デルタ・アジア銀行のコレスポンデント銀行は中国銀行だった筈である。であれば、中国銀行のバンコ・デルタ・アジア銀行口座がなくなってしまったことになる。
しかし、である。「金融制裁解除」になった後も「技術的な理由」から、北朝鮮は送金できなかったことは周知の通りである。
ひとつには、「コルレス口座」の動きを米国がすべて追えば、北朝鮮と取引がある金融機関は皆わかってしまうわけで、それを嫌気したことがある。これについて、米国は「匿名取引を認める」と言ったが、信用されなかったのは言うまでもない。
しかし、それなら、次の手がある。つまり、現金そのものを輸送してしまえば良いのである。北朝鮮はノドから手が出るほど決済が欲しかったのだから、送金でなく現金輸送すれば良いではないか?
で。これが「できない」のが「技術的問題」だろうと思うのである。つまり、北朝鮮の「現金」は、実は「偽札」だったのではないか?ということだ。
バンコ・デルタ・アジア銀行は、マカオのカジノ王の経営する銀行で、偽札は承知の上だったのであろう。ひょっとすると、コレスポンデント銀行だった中国銀行だって、一枚かんでいた可能性がある。。。そういえば、中国が金融制裁で何も言わなかったな。。。いつもなら、ここぞとばかり「慎重な対応」を求めるくらいの声明はあってもいいはずだが。やっぱり、米国に何か、やばいネタを掴まれていたんだろうな。

しかし、もしそうだとしたら、北朝鮮はこれから決済通貨をユーロに切り替える方針をとるしかないのだが。そう思うと、北朝鮮の地下資源開発のパートナーがEU諸国ばかり、という構図も透けてくる。危ない綱渡りしかなくなっている北と、漁夫の利を占めようとする欧州である。
ほとんど大戦前と変わりないではないか。これが、国際政治の姿というものなのだろうなあ。