Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

キュレーションの時代

「キュレーションの時代」佐々木俊尚。副題は「つながりの情報革命がはじまる」

仕事するのにオフィスはいらない」が面白かった。この人の著書は刺激的である。
読んだ感想をいえば、やっぱり凄い。

本書では、冒頭にブラジルの音楽家ジスモンチの例をひく。彼を、来日招聘したプロモーターが、一女性であったこと。
その彼女の武器が、まさにツイッターSNSだった。
昔と違って、今は「マスマーケティング」の時代じゃない。大きな広告を打って、大量の集客をできる時代じゃない。
しかし、同じ趣味の人達が、ビオトープのように、あちこちで小さく固まって生息している。
そこを見つける。それこそ、SNS時代のマーケティング手法だ、ということである。
著者は、消費は、かつての懐かしい「機能消費」(必要な機能が揃っていればいい)と「つながり消費」(商品のコンセプトに共感してお金を出す)に2分されていく、と予言する。
機能消費がユニクロH&Mだし、つながり消費はツイッターSNSでのコミュニテによる消費ということになる。
amazonの「オススメ」も、進化していけば「つながり消費」になる。
このあたりの分析が鋭い。

後半は、これらのソーシャルネットワークを使ったマーケティング手法に対する批判、主として「タコツボ化」に対する反論が述べられる。
いうまでもないが、ソーシャルの本質は「共感の広がり」にあるので、タコツボ化はしない。
よくあるサークルや同人グループに見られる「排他性」が、外部とのチャネルを絶って独自の進化を遂げてしまうのとは違うのだと指摘する。

面白く、刺激がある。評価は☆☆。

あえて指摘をするならば。
この本は「本」である。つまり、出版社というマスメディアが、不特定多数の人々向けに売り出した商品である。
しかし、この本は売れるだろう。同じことを、SNSで広めても良いのだが(事実、著者はそうしている)それでは届かない層がたくさんあるわけだ。
ソーシャルが主力になる時代は来る。しかし、それは「今」でない。
ただ、私は、本書の「予言」は成就するだろうと思う。

個人的に、ソーシャルでもっとも私が期待しているのは、ファンドレイジングである。
この分野は、必ず、次の時代にしっかりと根を下ろすことになる。
本質的に、ファンドレイジングは、SNSとよく合致するのだ。
可能であれば、是非やってみたい仕事である。