Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

ガール・セヴン

「ガール・セヴン」ハンナ・ジェイミスン。

主人公はセブンという渾名をもつ日英ハーフで24歳の女性である。
両親と妹を殺された経験を持つ孤児で、日本で育った。そのときの親友が聖子である。
セブンというあだ名は聖子がつけた。
清美(=セブンの本名)は、何か困ったことがあると、とりあえず数を7つまで数えるクセがあったからである。
やがて、彼女は養親のもとを出て、父親の国である英国にやってくる。
とはいえ、そんなに簡単に仕事は見つからない。
そこで、彼女はもっとも簡単な仕事をすることにした。
アンダーグラウンド」という名前のパブのホステス兼バーテンであるが、その実は、報酬をもらって客と一緒に寝る仕事もする。パブはその仲介をしている。
セヴンはパブのオーナーのノエルとは深い仲になっている。
ノエルは家庭を持っていて、セヴンのことは遊びだとしか思っていない。
セヴンは、ノエルの奥さんに嫉妬する。
ある日、パブにノエルの友達のマークが客としてやってくる。彼の仕事は殺し屋であり、マークは非常に知的なシリアル・キラーなのである。
マークはセヴンの事件を知っており、真相の解明について協力したいと言い出す。
セヴンは乗り気ではなかったが、徐々にマークの誠実さ(シリアル・キラーが誠実というのも変だが)を理解して、事件の解明をともに行うようになる。
同じ頃、ロシア人の二人組が店にやってくる。
セヴンは、軽い気持ちで二人の客に意地を張った会話をする。「私はこの店のオーナーと昵懇だから何でも知っている」というわけである。
すると、それからしばらくして、セヴンに大金が渡される。ある簡単な情報を教えてほしいという。
セヴンが情報提供の協力すると、それだけでは許さない、言うことを聞いて協力しないとお前を殺すと脅迫される。
セヴンは、恐怖のあまり、次々と二人組の命じるままに事件を起こす。内部事情に明るいセヴンは、店の売上金の殺人強盗までやるのである。
セヴンの望みは、二人組の用意するパスポートで、日本に帰ることだった。
やがて、ついにノエルにも真相がばれて、セヴンは二人組を始末して逃走する。
そのとき、二人組の正体を知るのである。
懐かしい日本に戻ってきたセヴンだったが、彼女が新しい生き方として選択したのは、まったく違う人生だった。。。


女性の書いたノワールということだが、たしかにノワール的な雰囲気は満点である。
著者が25歳のときのデビュー作ということで、マークの出来事とロシア人の事件との関連が薄く、ストーリー全体があまり練られていない印象を受ける。
しかし、文章は切れ味よく、随所に女性ならではの視点も感じられる。
なかなか、貴重な作風であると思う。
ちょっとオマケして、☆かなあ。

だいたい、男性作家の書く女性の登場人物というのは、弱いか強いかに極端にパターン化してしまうものである。
か弱い女性の登場人物は、すぐにきゃあきゃあ喚いて失神したり、怯えて泣き叫んだりすることになっている。
そうでない場合は、男性顔負けの冷静でクールなキャラクターとして描かれたりする。才色兼備の究極キャラである。そんな人間いねえよ(笑)
ま、そのあたりが男性作家のコンプレックスなのだと思って読めば、だいたい間違いない。

ところが、本作のような女性作家の作品では、当たり前だが女性も一人の人間として描かれる。
弱いところがあり、強いところもあり、悩んで決断する存在である。
ただ、その悩み方や強さが男性とは質が違う。
私は男なので、そういう女性作家の作品を読むのが別の楽しみであったりするわけである。
もちろん、すんなり理解しにくいこともあるのだが、それも含めて楽しみである。

最近はLGBTという言葉がだんだん使われはじめており、性的なマイノリティの権利を尊重しよう、という風潮があるようである。
私はLGBTではなくて、ごくふつうの(もてない)男で、女性の気持ちはわからない。
で、男性であって心が女性という人の気持は、やはり分からない。
逆に、女性だけど心が男性の人の気持が分かるか?と言われれば、それもわかりそうにない。話したことはないけど、たぶん、わからないと思う。
では困るか、といえば、まあ、困らない。
自分は普通の男なので、男から愛の告白を受けると困るが(苦笑)そうでない限りは、別にどうでも良い。
また、自分が好きになった女性が、実は女性が好きであっても、元々もてないので、悪影響はない。
ただ、LGBTについて「理解しましょう」と言われるのが嫌いである。
放っておいてほしい、という私の意向は、尊重されないだろう。
こちらとしては、50を過ぎてまで、ややこしい性的な問題でアタマを悩ませたくない、と思うだけなんだがねえ。