Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

夏への扉

夏への扉ロバート・A・ハインライン

この名作を読んだのは、30年以上昔ではないかと思う。
年末の大掃除で、書棚をあさっていたら見つけた。
懐かしくて読み始めたのだが、慌てて読む必要もないので、テレビを見たり他の本を読んだりするかたわら、ゆっくりと読んだ。
なんと、この年齢にして再読すると、色々と発見があるのだ。
面白い。
で、ようやく昨日、何度目かの完読をしたわけだ。

あらすじ自体は有名なものだ。
主人公のダンは発明家で、友人と二人で家政婦ロボットの会社を立ち上げる。
会社は大当たり。
ただ、途中から加わった性悪女に騙されて、ダンは会社を追い出される羽目になってしまう。
やけくそになったダンは、冷凍睡眠で30年以上を眠り、2000年に目覚めることになる。
さて、2000年に目覚めてみると、自分の家政婦ロボットの会社はかなりの隆盛をしているようなのに、自分の株は無価値だった。
きけば、もとのダンの会社はとうになくなっており、事業を新会社に売ったのだという。
さらに、かねてより考えていた製図ロボットがすでに世に出ており、そのアイディアは自分とうり二つだった。
すべての謎を解くため、ダンは機密のタイムトラベル装置を使い(50%の確率で未来に行ってしまう)自分が冷凍睡眠に入った時点まで戻る。
そこで製図ロボットの特許を書き上げ、友人と性悪女の悪巧みの裏をかいて新開発の万能ロボットを廃棄する。
大事な株券を友人の養女、リッキーに預けて、猫のピートをつれて再び冷凍睡眠に入る。
やがて目覚めた2000年で、そこには大人になったリッキーが待っていた。。。

この作品、なんと1956年に書かれた古典中の古典である。
製図ロボットは「CAD」という形で既に世にある。
それはわかっていたのだが、今回読み直して、作中に出てくる「文化女中器(ハイヤード・ガール)」が現代の「ルンバ」そのものであることを発見した。
その「文化女中器」の描写はこうだ。
「部屋の隅々まで、常に動き回ってゴミを掃除してくれる。さらには、電源がなくなってくると、自分でコンセントまで戻って充電してくれるのだ」
ねえ。
これを、1956年に発想したわけですよ。
ハインラインを、俗物だとか米帝の手先(苦笑)のように言うのは、金輪際やめよう。
ハインライン先生は、やはり天才なのだ。認める。
今まで、すいませんでした ORZ。

おこがましいので、評価はしない。
する必要もない古典なので。
もし未読の人がいたら、たぶんどこの古本屋にでもあると思うので、迷わず手に取るべきだ。

思えば、この本を読んだ頃、私は犬を飼っていたのでガチガチの犬派だった。
それが、今や猫様の奴隷である。
もちろん、本書は猫様を讃える本でもある。
つまり、より一層愉しめるようになったというわけだ。
愛猫を撫でながら「夏への扉」を読めたんだから、人生はまんざら悪いことばかりでもないようである。