昨日から、自民党が「非公認の裏金議員にも2000万を渡している。実質、裏公認だ」というニュースが駆けまわり、「とどめの一撃」になりつつある。
このニュースソースは赤旗なのだけど、これは完全に共産党のしかけた「情報戦」なのだ。まさに、仁義なき戦い、である。
このニュース、石破首相は「党勢拡大のための資金で、公認、非公認とは別」「報道に憤りを覚える」と猛反論しているのだが、もはや流れは止められないでしょう。
実は、このニュースはTBSが裏付け調査をしており、その結果「まったく候補者を出さなかった支部にも2000万円が送金されている」のを確認している。ついでに、支部の関係者が「選挙には使わないようにと党本部から指示があった」とも。
共産党の言うように、裏公認料ならば、そもそも「候補者が公認、非公認にかかわらず立ってない」支部にも同様に2000万送金されるはずがない。
もうひとつ言えば、このカネは「政党助成金」であって、「政策活動費」ではない。この区別は、「政党助成金」は領収書をつけて使途を報告しなければいけないのに対して、「政策活動費」は領収書は不要。裏金になりにくいカネなのである。
ついでにいえば、政党助成金は、議員の数が変動する場合があるので、4,7、10,12月にそれぞれ議員数を精算して支払われる。今月に支給があったことに符合する。
そういうわけで、石破首相の弁明は筋は通っているように見える。
しかし、である。このタイミングで、いくら正論を言っても、誰が聞く耳を持つだろうか。たぶん、真相はしばらく時間がかかって、ようやく知られることになるとは思いますが、投票日までに選挙民が冷静に事実を積み上げて判断するとは、とても思えない。私が指摘したような事項を共産党が知らないはずがないので、つまり投票日までに事実関係の修正が不可能なことを見越して、このタイミングで仕掛けた。まさに仁義なき情報戦である。
共産党は、こういう情報戦を仕掛けるセンスには長けていて、かつて麻生政権のときも「格差が拡大したのは小泉政権以来の派遣労働の規制緩和が原因だ」として猛批判し、野党転落のムーブをつくったことがある。このキャンペーンは大成功したので、いまだに信じている人が多い。言い出しっぺは共産党なのだが、知らない人が多い。真実は格差拡大のジニ係数は小泉政権下では緩やかになっている。高齢化がすすむと当然に年金生活者が増えるので格差が増える。その影響を排除すると、ジニ係数の拡大ペースはゆるやかになり、その前の小渕、森政権のときより小さくなっているのだ。共産党の上層部は高学歴であり、こんなことを知らないはずがない。情報戦を仕掛けたわけだ。事実がどうあれ、政権をたたけるアイディアがあればいい。
嘘でもデマでも、ここまで来たらどうでもいい。真実よりも、真実を信じられることのほうが重要なのである。あとに残るのは、しょせん勝敗だけなのだ。
この仁義なき政治の実相に、慄然とするだけである。