Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

フジテレビの損害賠償はヘン

フジテレビは、ライブドア株式をすべてUSEN社長の宇野氏に譲渡して業務提携を解消したようである。そして、この取引に基づいて発生した300億円強の損害を、ライブドアに請求するそうである。
もちろん、その理由は、ライブドアの株価が不正な経理操作の結果として形成されていたことである。
簡単に申せば「騙された」からである。

だけど。。。なんとなく、この話には違和感を覚える。

ライブドア社がニッポン放送TOBを仕掛けたこと自体は、少なくともその当時の証券取引法に基づいて、違法ではなかった。これに対するのに、フジテレビがライブドア株式の取得を通じて業務提携という解決策を選んだのは、経営陣の自由な選択の結果であって(つまり、ニッポン放送を売り飛ばし、フジテレビ自体がライブドア傘下におさまるという「自由」だってあった)別にライブドアが騙したわけではない。
ライブドアが騙したのは「市場」であって、フジテレビではそのわずか一部でしかないんである。

つまり、結果的にフジテレビが損をしたのは「風が吹けば桶屋が儲かる」式の論理による。株は、いろんな原因で上がったり下がったりするもんであって、いちいち下がったからといって当の相手に損害を賠償しろとは言わない。もしそんなことをしたら、かつての証券会社で行われていた優良顧客向けの「損失補填」と同類の行為で、市場の公平に反することになる。

市場において、多数の株主がライブドア事件において損をした。彼らを責めることはできない。決算書は、専門の公認会計士が監査を行って適正だと言っていたのである。それを信じて投資した投資家達に落ち度はないのだが、しかし、落ち度が無くても株は下がるときには下がる。何故か?なんの努力もしなくても、風が吹けば、逆に上がるときは上がるので、下がるときだけ特別扱いするのは理に合わぬと言うだけの話である。

それなら、フジテレビも同類じゃないか。ライブドアの株価を信じて買いました、しかし株価が下落しました、それだけの話だろう?なんで、損害賠償を請求できる?それが通るなら、市場のすべてのライブドア株主に損害賠償すべきじゃないか。そうじゃなければ、大企業だけ優遇する話で、公平じゃない。

ライブドア事件には、粉飾決算という市場における犯罪の被害という面と、株式市場という自由経済における損失という面の両面がある。
このうち、損害賠償請求の対象になるのは、犯罪被害の面だけである。

私はどうも、腑に落ちないのである。