Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

WEB進化論

「WEB進化論」梅田望夫

最近ちまたで人気らしい。
私は「ベストセラー本」について偏見を持っていたのだけど、最近はどうも様子が違うと思う。ハズレが少ないように思う。
なんでか?と考えると、やはりインターネットがキーなのではないか?
昔と違って、今はネットで書評がどんどん出ている。多くのHP開設者やブロガーが「この本は良い」と口を揃えて言えば「俺も読もうか」となってヒットする。マスコミが大宣伝しても「くだらん」があふれると、やっぱり売れない。つまり、昔よりも「自然淘汰」が聞いている。

例えば、賛否両論はあるにせよ「嫌韓流」がそうだった。大手マスコミは、売上トップの本書を無視した。だけど、実際はバカ売れ。
思うに、もう一部のマスコミによって誘導された世論なんてなくなったのだ。そこには「インターネットの意志」がある。これは、ある意味で「直接民主主義」なのだ。
現実は、すでに旧出版文化を追い抜いた。
佐高信が「ベストセラーはバカ売れして、あとは売れない出版不況で、一面的なファシズム文化の傾向」だと言ってた。この人は、どうしようもない旧人類だと思った。まったくネットの意味がわかっちゃいないのだなあ。逆に、ネットだから売れる本も出ているのに。

インターネットと消費行動の関わりを考えていたときに、私が「これだ」と思ったのは、ネットはおそらく史上初の「買い手側に消費の主導権がある」「消費の民主主義」だということだった。
ネットでは押し売りもできない。巨大独占資本が、自由自在に人民にモノを買わせることができる、なんてお目出度い空想がガラガラと崩壊していった。いまだにこんな事を言っている人はどうしようもない。
かつては、売り手が強かった時代もあった。
だけど、どんな巨大小売業も、ネット上ではただの一サイトに過ぎないのである。

この本は、インターネットの現状について、かなり正確に考察しているように思う。私は仕事の関係で読んだのだけど、これは良いのじゃないか。ネット関連の仕事をしている人じゃなくても、インターネットがどのように「世の中」を変革しつつあるのか、理解する大きな一助になると思う。

評価は☆☆。
満点にしなかった理由は、この本はまさに「今」だから価値がある本だから、だ。
つまり、あと2年後には「そんなこともあったねえ」という類の話になっているだろうってこと。
もっとも、それは本書が悪いのではない。