Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

世にも不思議な中国人

「世にも不思議な中国人」五十嵐らん。

中国で女一匹ビジネスに乗り出した筆者の抱腹絶倒ブログをまとめて書籍化したもの。
元ブログは下記を参照↓(中華的生活 多少銭?)

http://chinalifecost.seesaa.net/

これは面白い本である。
ちょいと注意しておくと。
いわゆる「嫌中韓」ものではないと思う。だから、そういう期待(笑)をもって読むと、やや肩透かしを食らわされるかもしれない。
そうではなくて、異なる文化の中で商売をしていこうと思ったときに、いったいどういう事態が起こるかをつづった書である。
たとえば、そのような「異文化との衝突」はどこの国にでも起こりえるので、それが中韓に限って書いてはいかん、ということはあるまいよ。

私も10年前の中国ビジネス(有名な?!福建省でした。いや、すごかった)で、やっぱり同じような経験をしたのだが、中国人の特徴として「国民としてのアイデンティティのなさ」を感じた。いや、非難するわけじゃない。ただ、すっごく違う。この本にも同じようなエピソードがある。

たとえば。
日本人が、どっかの外国で大犯罪を犯した、としよう。それをニュースで知った日本人は、なんとなく「居心地の悪さ」を感じるんじゃなかろうか?なんでそんな馬鹿をやってくれたんだ?みたいな感覚である。
ところが、中国人は、そういう感覚がいーっさい、まーったく、無いのである。中国人が外国でどんな犯罪をしようと(そして、犯罪比率が高いとか言っても)「あ、そう。そういう奴もいるよねー」でお終い。つまり「同じ中国人」という感覚はない。
会社で不祥事があって、その社員だとしても「俺のやったことじゃないから関係ない」が徹底している。日本人としては、なかなか違和感を覚える感覚だ。

たとえば。
よく中国共産党は、日本政府を批判するのに「指導者が悪い、しかし日本人民は悪いのではない」という言い方をする。これは、少なくとも私の世代ではよく分からない主張である。我々が選挙で選んだ指導者が悪いのに、投票した者に責任がないという主張は理解に苦しむものだから。
で、「ああ、中国は政治体制が違って独裁だから、そういう主張をするのだな」と思ってしまう。
しかし、どうも現実に中国人と付き合ってみると、そもそも国家という意識が希薄なので、民主主義か否かも関係ないように思えてしまうのだった。

実は、中国には年金制度もない(共産主義なのに!)
だからか、中国人は、そもそも「政府を信じる」気持ちなんてない。信じられるのは「お金」「自分」「血族」だけ。そういう意味では、逆に個としては日本人より遙かに強いところがある。

私が行ったところは田舎だったと思う。当時の改革開放のモデル4地区じゃなかったわけだから。
で、この著者がいるところは、上海からかなり離れた郊外のような。
共通点があるのは、中国の田舎だからかもしれない。都会なら、また違う考え方があるかもしれない。

評価は☆。
結構、中国ビジネスをリアルに感じられると思う。
「うっそー!ネタでしょう?」いや、これ事実ですよ(^^;)
だけど、中国で仕事をしたら、毎日ビックリ仰天なわけはない(あたりまえだ)
ま、「違和感」の部分を抜き書きした感じ、かなと思う。