Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

生涯現役?

日本人は、なんでも競争原理のアングロサクソン民族とは異なる、調和を重んじる民族だという説がある。
私は、この話に、大いに疑問をもっている。

アメリカの大金持ち、たとえばビル・ゲイツにしろウォーレン・バフェットにしろ、そういう大富豪は、また実に大規模な寄付をする。
ちょっとやそっとの額ではなく、腰が抜けるほどの額である。

ところが、寡聞にして、わが国において、同様な話を聞かない。
もちろん、税制の違いもあるのだろうが、仮に寄付したら免税措置がとられるからといって、日本の大富豪が寄付をするようになるだろうか?
そもそも、税の抜け道ばかり使ってまともに税金を払ってさえいないのだから、免税措置を受ける必要もないのではないか、と思う。
言いたくはないが、たとえばバブルの時期の○部グループの○氏とか、○ビルの○氏とか、サラ金で有名な○富士の○井氏なんて、総資産1000億円を超えていたはずだ。
当然、世界のトップ10ランキング入りしており、金はくさるほど持っていただろう。

ところで、戦前の富豪は、実にまた寄付を行った人が多い。渋沢氏もそうであるし、あるいは高島氏、三菱の岩崎氏だって寄付をしている。その違いは何だろうか。

ここで、たとえば「公のためを思う心がなくなったからだ」と言えば、非常にスッキリするのだけど、私はそのような見解をとらない。
もちろん、戦後の日本で「公」がないがしろにされている、ということはあるけれども、じゃあ、なんでそうなったのか?という疑問に応えていないように思うからである。

日本の「寄付しない大富豪」が、何をしているか?ハッキリ言えば「金儲け」をしている。
私は、上記の中で物故したある人物とは接点があったけれども、彼は「値下がりしたゴルフ場」を、血眼になって買いあさっていた。「いずれ、反騰する」というのである。
そのとき思ったものだ。そりゃ、あんたの読みは正しいかもしれない。けれども、既に齢70歳を過ぎて、どう転んでも使い切れない金を、いまわの際まで追いかけて、いったい何の人生なんだろう?
もちろん、そんな大金持ちにゴマをすって、いい加減な情報を売りつけ、なんとか一儲けしようとたくらんだ私ではありますがね(苦笑)
気がつけば、その大富豪の周囲には、私のようなゴマすり野郎ばかりがわらわら集まっておりましたなあ。すさまじい光景であるよ。

日本の大富豪は寄付をしない。彼らは、死ぬまで金を稼ごうとするから。
彼らは、こういう言い方をする。「生涯現役」
それって、本当に素晴らしいことなんですかね?

たしかに、現役世代は寄付をあまりしないだろう。現役世代は、家族に対する責任も重いし、税負担も重い。稼がなければならぬ。寄付どころではない。
「一生懸命稼いで、税を払っているのだから、もう十分じゃないか」という考え方には、説得力がある。

しかし、功成り名遂げた老人が、「生涯現役」と言って、使い切れない以上の金を稼ぐのは良いのだろうか。
言葉は悪いが、なんとなく仏教で言う「餓鬼道」を感じざるを得ない。

へんな話かも知れないが、戦争で負けたというのは、そういうことかもしれないな、と思っている。