Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

移民反対論

私は、以前から表明してきたように移民に反対である。
「そんなことをしたら、日本人じゃなくなる」という情緒的(日本的?笑)反対論もあって良いが、そうではない。
私の反対論は「メリットが無く、デメリットばかりだから」である。
その理由を、以下に3点述べる。

第1に。日本の国際競争力にとってマイナスである。
これから少子高齢化時代で、労働力不足だから移民を受け入れよう、という議論は、まったく「ものの理屈」を考えていないとしかいえない。
私は、上場とは名ばかりのチンケな会社役員ではありますが、このくらいの話はわかる。それを経団連のお偉いさんが分からないわけはない。経済人がわからないはずがない。
あえて、この議論のウソを告発する。
誰でも分かるが、日本に移民が来るとして、その移民はなぜ日本に来るのか?それは「自国よりも賃金が高いから」以外にない。
たとえば、フィリピン人が日本に移民してきたとして、日本とフィリピンが同じものを生産したらどうなるか?そりゃあフィリピンの勝ちに決まっている。最初は、日本のインフラが効いて日本が勝っているように思うが、そのうち追いついて、競争力優位はなくなる。すると、高い賃金だけが残るのだ。やがてリストラの嵐が吹く。一時の景気を追った反動である。移民が来るということは、日本のほうが賃金が高いわけだから、出身国よりも高い賃金を使って国際競争力が上がるわけがない。

この問題は、第2点として、社会コストを押し上げることになる。
現在、中国からのまともな移民は減っている。日本の給料が中国よりも高いとは言えなくなってきているので、東京よりも上海のほうが中国人にとっては暮らしやすい。今や日本は、中国にとって競争相手とは言えなくなってきたが、これはつまり中国からの移民が減るということである。移民政策は、常に最後は両国の平準化を生み出す。
しかし、物事には例外がある。すなわち「まともな中国人は日本に出稼ぎにこない」とすると、「まともでない人」はどうか?ということである。日本における外国人犯罪者の中で、中国人の割合が増える一方であるのは、このような事情が働いている。すなわち「本国ではまともな仕事がない人」は、日本で「まともな仕事」をするだろうか?ということだ。
どうせ出稼ぎで、仮に帰国してもまともな収入は望めない、となれば「やらずぶったくりで、手っ取り早く稼ぐ」方法を選択する。
もちろん、移民が増えると、これらの問題が増えるので、そのコストを社会で負担しなくてはいけない。
先に述べたように、国際競争力の問題で言えば、移民は寄与しない。内需の拡大には、一時的に人件費が下がるから寄与する。しかし、一方で社会コストも絶対に増える。
結果どうなるか?外国人を大量に雇える国内企業が「一時的に」利益を伸ばし、その熱狂が過ぎ去った後に人員削減を行い、その対象者は「本国ではまとに稼げなかった人たち」であろう。
何が起こるか?
誰にでも、よく分かる結果が待っているだけの話だ。

第3に。
移民は、実は問題の解決策ではなく、たんなる先送りに過ぎない。
国際競争力の問題でも述べたように、移民が日本の競争力を増すように見えるのは、一時のまやかしであって、労働条件は自由な労働力の移入が有れば必ず平準化する。
それだけなら良いが、しかし、人間はモノではない。その先の問題がある。
かつて、英国は「ゆりかごから墓場まで」と言われる高福祉社会を誇っていたが、やがて高齢化、その結果、介護労働力が足りなくなった。それで、アフリカ諸国から、大量の看護婦を受け入れた。
今の英国で何が問題になっているか?それは、彼女らが「高齢化」したことである。
すでに、英国がそれほど魅力のあるエリアではなくなったこともあって、移民については活発でなく、少子化も改善していない。そして、高齢化した彼女らが残っている。
「君たちは役に立たなくなったから、国に帰れ」などという政策があろうはずはない。
結果、英国の若者は、移民を受け入れた老人と、老人となった移民の両方を支えなければならないのだ。これのどこが「解決策」なのだろうか?
労働力などと、軽々しく言ってはならぬ。その労働力も、いつか必ず歳を取るのだぞ。そのとき、どうするつもりか。
問題の「先送り」は、より問題を深刻にする結果しか生まないものだ。

以上の理由で。
移民政策には反対する。

ついでに言っておけば、日本における在日韓国人問題だって、かつての移民政策の問題が顕在化したにすぎない。
強制連行だ、いやなかったという議論はどうでもいいが、今の「在日」の問題がないとは誰も考えないだろう。その問題は、移民問題だと考えたほうが明快だ。
保証しても良いが、移民受け入れは、我等の子孫の時代に新しい「在日」の問題を引き起こすだろう。

少子高齢化は、富裕化した国の宿命だ。一方で、ネットカフェ難民日雇い派遣労働者が「職がない」「安定した職が欲しい」と言っている。
一方で、介護業界も人手不足だ、あるいは限界集落がいくつあるか見当もつかない、という。

移民政策なぞにかまける暇と予算があれば、まず国内におけるこれらの労働問題の歪みを是正するほうが先だ。日本人が日本人の問題を解決できないままに、安易に他国の労働者を受け入れるものではない。