Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

美人局

最近、私の興味をひいた記事がありまして。

男子高生が「美人局」をやっていたと言うんですな。
友人の女子生徒をつかって、ネットで「お客様募集」をかける。
鼻の下を伸ばしたエロオヤジが現れると「ちょっと待て。俺のカノジョに何をする!」とすごむわけです。
もちろん、この話の核心は、相手が未成年だという点にあります。
「あんた、犯罪だろ?!出るとこに出てもいいんだぜ」
普通はこれで勝負あったで、高額な和解金をせしめるわけです。

まあ、実際にぶち切れて「おう、出てやらあ!」と叫んだ馬鹿な客が一人出てきたわけで、彼はご用になってしまったわけですが。

本人は「そんな悪い奴らから金をとって何が悪い」と反省の色はないそうで。もちろん、相当の「前科」があるようですが、詐欺罪は基本的に親告罪ですからなあ。被害者が、被害届を出すかどうか。

この話を読んだときに「なるほどなー」と思わず。
言うまでもありませんが、売春防止法は「管理売春」を規制しております。わかりやすく言えば、この人類最古の職業においては「自営」以外は認めない、ということでありますな。逆に言えば「自営」の場合は「大人同士のすることなので、国家は介入しません」なのであります。

ところが。
近年ご存知のとおり「青少年育成条例」によって、相手が未成年者の場合は「自営」もイケナイ、となったわけであります。
法規制があるところでは、必ず市場は歪みます。その「歪み」から利潤を得るのが、正しい資本主義であるのですよ。つまり、くだんの男子高校生のアイディアは卓抜である、後世おそるべし、だと思うのですな(苦笑)
こりゃ、本人に「反省」を求めても、ムリでしょうなあ、うん。
(もちろん、焦点の行為が、いまどきの女子高生の「自由な経済活動」であると認められた場合には、彼の商売がうまくいかなくなるのも、自明の理であります)

それで、私の興味があるのは。
もちろん、ぶち切れて「おそれながら、とお上に訴え出た被害者」なんですよ(笑)「どのつら下げて」という言葉がありますが、なんともねえ。どうして「泣き寝入り」しなかったのか?心中いろいろ忖度してしまうわけであります(笑)

付言しておきますと。
この手の「美人局」は古典的な犯罪ではありますが、それなりに有効でして、ただ昔は「おれの女に何をする!」なんて言ってたのが、ここまで自由恋愛が当たり前、不倫離婚も朝飯前てな具合になりますと、なかなか流行らない商売になっていたと思いますね。
そこで、この男子高校生が「新市場」を開発した。
これ、たぶん流行ると思うのです。ほら、振り込め詐欺だとか、スキミングだとか、ようするに「いける」と思った手法は、必ず追随者が現れますからね。
そうして、しばらく「沈黙の被害者」が増えていく。
で、ある一定程度に達しますと「あれはマズイ。恐喝だよ」てな具合になる。そもそも「市場」が縮小するわけであります。
そうしますと、ようやく未成年の問題の行為がなくなるというわけで。
つまり、くだんの男子高校生と、訴え出たエロオヤジは、若年層の売春を(長期的に見れば)減少させることに貢献したとも言えますね。

法律があって、悪事が防がれるのではありません。その法律があることで、それに基づいた経済行為の結果(利益衡量とも言いますな)犯罪がなくなる。
実際に「損」が無ければ、行為はなくなりませんよ。自転車の信号無視が良い例でしょう。

国家は、唯一「市場を歪める」ことができる存在ですから。
うまく歪めて欲しい、と思うのですが。下手に歪めるのであれば「放置」するほうがいいんです。
その判断が難しい、ということですかなあ。