Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

限界国家

「限界国家」毛受敏博。副題「人口減少で日本が迫られる最終選択」

 

少子高齢化ということについて言えば、すでに勝負はついているわけである。
合計特殊出生率が2を切る状態が長く続けば当然なのだが、それ以前に、すでに子供を生むことのできる女性が減っているからである。
女性が減っている以上、その人達が少し多く生んだところで、母数が少ないので、もう減るしかない。
日本の人口は2020年代に680万人間性という予測が出ているわけだが、この世代人口をグラフにすると、ピラミッド型でなく、上のほうに肩があって下に行くほど細っていく形になる。
人呼んで「棺桶側」まあ、西洋の棺桶、ドラキュラが入っているアレと同じ形ですな。
文字通り、もうオシマイというわけである。

で、人口が減ると国力の低下が必然であり、経済力は低下して、社会保障の維持もできなくなる。
ご存知のとおり、今の年金制度は「世代間扶助」という、上の世代を下の世代が支えるという国家的ネズミ講方式なので、下の世代が減ってしまうと破綻するのである。
国家がやっているからセーフなのだが、同じ仕組みを民間がやったら逮捕投獄間違いなしという、すごい制度である。

では、人口減少に悩む国は我が国だけかといえばそんなことはなくて、今まで先進国はすべて少子化している。
で、それらの国は移民政策によって経済を維持する方向に行っている。
つまり、日本もそうするしかない。
今の日本では原則移民を認めておらず、しかし外国人の労働者はかなりいる。
一つは留学生、もうひとつは技能研修生制度である。
しかし、留学生の実態はアルバイトに明け暮れて学習などできてないし、不法滞在を招くことにもなっている。
外国人技能実習制度は事実上の奴隷制度と言われるくらいで、問題がたいへん多い。(恥ずかしい)
優秀な移民は今後、世界で奪い合いになる。
日本も、早急に移民政策を実施し、優秀な移民に来てもらえるような政策にすべきである。。。


ふうん、という感じである。
実際に、私が住んでいる街も、外国人だらけである。
韓国人、支那人、ネパール人(カレー屋)、ベトナム人(コンビニ)等々。
実際に日本がこれから経済を維持するためには、移民によるしかないというのは現実だろうと思う。

しかしながら、それでも私には疑問があるのだ。
本書では、日本人が移民に反対する理由として「日本人の職場が奪われる」「治安が悪化する」がある、という。
そして、それぞれを否定する。
しかし、である。
実際に、賃金の安い職場には外国人労働者がすでにたくさん働いている反面、日本人の給料が上がっていない。
著者は、日本人の給料が上がらないのは外国人労働者のためではなく、ほかに原因があると言う。
これは納得できかねる主張である。
まず、安い賃金しか払えずに人が来ない職場(俗に人手不足倒産の危険があるという)は、淘汰されるべきである。
賃金の安い職場が安い外国人労働力を使って、従来どおり安い品物を生産すれば、賃金の高い会社は生きていけない。誰が考えても当然の話である。
ゆえに、人手不足倒産を起こして、賃金の安い会社を淘汰しなければ日本人の賃金は上がらない。原理原則で考えれば当然で、この原理に従わないのは介護業界のように介護保険で収益性が縛られている業界だけはずである。
著者の説明には納得できかねる。

さらに、もう一つの疑問がある。
それは「移民がたくさん」来てもらって、残した国が日本なのか?という疑問である。
日本列島に日本人が住んでいて、そこで日本という国ができた。
日本列島に日本人以外が住んでいても、それは「日本」なのだろうか?
彼らは天皇に愛着もないだろうし、男系の伝統もナニソレ珍八景にすぎぬだろうし、日本国憲法前文のように特定アジア諸国に謝りつづけることをアイデンティティにもしないように思う。
お前らの祖先が侵略したんだから謝罪して賠償しろ、と言われて、東南アジアから来た移民の「日本人」がスミマセン、お金払いますと言うんだろうか?
経済を移民で残すのなら、アメリカでいいじゃん?と思うのである。
日本である必要があるかな?アメリカになっちゃえば、自由で民主主義で、お金儲けがいっぱいできるわけでしょう?

というわけで、日本という国を維持することと、日本の経済を維持することがうまくつながらないのである。
もちろん、私のアタマの中だけの問題だけど。

そういうわけで、評価はしません。
たまには、そんなこともあっていいんんじゃないか、と。