Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

楼岸夢一定

「楼岸夢一定」佐藤雅美

この前読んだ「大君の通貨」が面白かったので、同じ作者のものを読む。

主人公は蜂須賀小六である。
河原衆と呼ばれ、田畑を持たずに暮らしていた彼らが、信長に目を付けられる。
なんども誘いを断るが、戦国の世において、なかなか中立であり続けるのは難しい。
とはいえ、信長の暴虐残忍な性格を見破った彼らは、苦肉の策として、秀吉に仕える道を選ぶ。
史上有名な墨俣一夜城や浅井一族の裏切りによる撤退戦で彼らは大活躍、ついに中国大返しを経て、秀吉は天下人になる。
そこから、秀吉は変わってしまう。
かつて、彼らが忌み嫌った信長と同じ「化け物」になってしまうのだ。
小六の盟友、前野将右衛門は、関白秀次の謀反に連座させられ、ついに切腹、家は取りつぶしとなる。。。

筆者が書いているように、この本のあらすじは「武功夜話」によっている。
武功夜話によって、前野将右衛門蜂須賀小六の活躍にスポットが当たったと言って良いのだから、これは順当なところである。

評価は☆。
この筆者の作品にしては、もうひとつかな。
題材が有名すぎるのか、通俗時代小説に近くなってしまう。
もっとマイナーな人物を取り上げて欲しいな、とムリな注文を(苦笑)

読者とはわがままなものですなあ。