Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

人生初の救急車に

こんな経験はしないにこしたことはないと思うのだが、先日、ついに人生初体験の救急車で搬送されてしまった。

私には、メニエール病の持病がある。とはいっても、ふだんは、もう意識しない程度のもので、自分でも治癒したと思っていた。
メニエール病は内耳の病気で、原因は不明であるが、激しい耳鳴りと目眩を起こす。
しかし、ここ数年、まったく快調で、特に意識もしていなかった。

それが、先日、朝の電車に乗る前から、なんとなくおかしかった。
耳鳴りもするし、左を向くとふらつく。耳鳴りも左からするから、左の内耳だろうと思った。
デスクに座ってから休もうと思い、電車に乗ったとたん、激しい目眩に襲われた。
次の駅でようよう這うように降り、そのままトイレに直行。嘔吐である。
そのまま個室内で休んだが、発作がひどく、全身に冷や汗をかき、立ち上がることもできない。
緊急用のトラベルミンを思い出し、がりがりとかじって飲んだ。
しかし、途端に激しい嘔吐ではき出してしまう。2錠目を飲んだが、同じ繰り返しであった。
なんとか個室内からはい出て、洗面所で座り込む。もう動けなくなった。
ちょうど、駅員が見回りにきていて「お客様、どうしましたか?」
メニエール病の発作です」
「すぐに救急車を呼びますから」
駅事務室で休ませてもらうが、その間も嘔吐する。タオルで受けつつ、床に寝ている。
ベッドが揺れるのが耐えられないのである。

そのうち、救急隊員がやってきた。
「バイタルとって」指をなにかで挟まれる。血圧らしい。メニエールの発作時は、これがかなり下がる。
「すみません、メニエールの発作です」
「すぐに病院に搬送しますから」
ベッドに乗せられ、救急車に乗せられたのがわかった。しかし、顔をあげることすらできない。そのまま近くの病院まで搬送された。

豪快な医者が待ちかまえていた。
「あ、これはきつそうだな~。大丈夫、すぐに点滴をいれてあげるから」
氏名と生年月日を聞かれて、うつぶせのまま、答える。意識が明白なのを確認して、そのまま、腕に点滴を入れて貰う。
「楽になりますから」
本邦だけの不思議な治療法、メイロンの点滴を受ける。
と、みるみるうちに目眩が収まってきて、楽になった。摩訶不思議な薬である。

少し楽になってきたところで、そのままMRIに運び込まれて、脳検査を受ける。
結果はまったく正常で、メニエールであることがハッキリした。
ついでに言えば、自分は閉所恐怖症で、MRIがダメなのである。
しかし、このときは、恐怖を感じるヒマもなかった。たぶん、あの筒の中につっこまれて、妙な音がするわけだが、もうどうにでもなれ、と目をつぶっていた。

しばらくすると、どうにか動けるようになった。
ぐしょぐしょの自分の服をもって、歩いて(多少はふらふらするが)帰宅した。

人生で始めて、救急車に乗ったわけだが、どのようになったのか、まったくハッキリ覚えていない。
その光景も記憶にない。
七転八倒していたわけで、何も見てないし、覚えていないのである。

ただ、救急隊員達の措置は早く、落ち着いていた。
病院の医師は豪快な人だった。「あんた、疲れすぎだよ。今日はゆっくり休みなさい」

始めて救急車に乗った感想を一言いうと、ホントに有り難いとしか言いようがない。
おかげで、どうにか助けられたのである。

それにしても、この有様。
冷や汗を流してうずくまる中年男は、気持ちの悪い光景であろう。
いやあ、ホントに参りました。