Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

縮図

実業で一山あてた女優さんが、旦那さんと別居して、シンガポールに住んでいたと公表した。
昨年の4月から11月だそうである。
それで「ははーん」と思った。

日本の税法では、1年の半分以上を海外で過ごした場合、納税地は日本ではなくて海外になるのである。
つまり、この女優Mさんの場合、昨年の所得の納税地はシンガポールである。
シンガポール最高税率は20%。
日本は、国税40%+地方税10%で、最高税率は50%になる。
このMさん、なんでも100億円の資産をつくったというが、それもここ数年のことだと思う。
年収数十億レベルであれば、税率の差は30%。10億円なら3億円違う。
4月から11月なら、きちんと7カ月である。
いくらなんでも183日だと、ミエミエだから。

とはいっても、これらの行為は決して「脱税」ではない。
合法的に、法律に従っているのである。
徴税権は、国家主権であるが、国境を越えられない。
個人も、法人も、お金も国境を越えていく。

ちなみに、シンガポールキャピタルゲイン課税がない。株で儲けても無税である。
したがって、シンガポールに住んで、東京証券取引所日本株を売買し、儲けても無税。
実は、東証の「外国人株主」のうち、相当数がこれらの「外国人」なのである。
欧米人が、本気で極東のわけわからん株に興味を持つわけないだろう。

大きな政府が」とか「新自由主義が」という経済談義が出るのだが、そういう人たちと私は話が合わなくて、会わない原因がこれである。
つまり、私は「大きな政府」も「新自由主義」も、つまるところ「政府という商店の商品」だと思っているので、優劣は市場が決めるでしょ、という考えなのである。市場原理を、市場原理主義そのものに適用してしまうわけだ(苦笑)
じゃあといって国家が規制すれば、お金も人も法人も逃げるだけだからね。
つまり、グローバリズムがはじまった以上、経済思想そのものが、なんか「終わった」のじゃないか、と思うのですな。

こんな話って、そういう縮図だと思った次第である。