Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

沖の鳥島爆破指令

「沖の鳥島爆破指令」大石英治。

年末のデスマーチがなんとか終わったので、思い切り肩の力を抜いた本を読む。エンターテイメントの軽い小説である。
いっそラノベを読んだらどうかと思うが、しかし、あれは意外に面白くない。
ラノベを読んで萌えるには、何かが私に欠落しているのであろうなあ。

さて、本書だが、古本屋の100円の棚に長期間放置プレイされていたようだ。
刺激的なタイトルに惹かれて購入。
すらすら、と読んでしまう。

話はシンプルで、東京都庁港湾局の職員が、タカ派な知事の命令で、沖ノ鳥島に赴任する。単身赴任ではなくて、家族連れである。
奥さんは元WACで、今は看護士。子供は小学校就学前で一人は幼稚園入園前である。任期は1年。
つまりは、沖ノ鳥島に家族が住んだ、というアリバイ作りが目的である。
これは別に「邪悪」ではない。国家が、その主権を主張するために色々な手段をとるのは当然だし、それをしなければ怠慢である。
ちなみに、色々なことの中に「戦争」も含まれるが、国際法上でも、国家間の戦争は違法ではない。
戦時交戦規定を逸脱すると違法であるが、戦争自体が違法なわけではないのである。まあ、むやみやたらに戦争するのは悪いという考えもあるのだが、それでも「やむをえない場合」は、国家として戦争することは認められているというのが主流である。
その「やむをえない場合」は、つまり「自衛上」ということになる。
戦争に比べれば、家族を離島に赴任させる程度は、きわめて穏便な処置である。。。

・・・のであるが、日本の周辺には、それを「穏便」だと考えない国がある。はい、アノ国である(笑)
候補が多すぎると思われる向きは(苦笑)、太平洋のど真ん中まで出っ張って、日本を邪魔したい国だといえばわかるであろう。
日本海の呼び名でキイキイ言っている連中よりも、もっとでかくて厚かましい国のほうである。(苦笑)

話は脱線するが、日本海海戦、これはthe war of sea of japanであり、googleで引いてもたくさんでてくる。
the war of east seaなんて、どこにもない。あまりにも当然である。
歴史上も何も足跡のない名前でいきなり海の呼称を変更できるわけないのだが、本当の歴史を知らないから、ああいう主張ができるわけである。
その彼らが国外に出て、英語圏歴史教育を受けると驚愕するらしい。歴史ファンタジー歴史学の違いである。情けない連中である。

閑話休題
で、そのよからぬ国が、潜水艦でコマンドを送り込んで、沖ノ鳥島の爆破をしようとする。海面から消し去れば、日本の200海里経済水域も消えるという算段である。
コマンドのほかに、日本人の狂信的環境保護活動家というやつが混じっている。日本国の邪悪な意図を粉砕するためには、同胞を殺してもかまわないと考えている人間である。
本人のほうがよほど邪悪だと気づかない程度に馬鹿なやつである。
それにしても、反日日本人が、必ず同胞の足を引っ張るという構図は、なかなか説得力があるな(苦笑)。

で、沖の鳥島駐在チームのほうでも、そんな展開をある程度予想していて、自衛隊やら海保やらが総力を挙げてこいつらを迎撃する。
ネタバレしてしまうと、何とか防衛は成功するのである。
まあ、簡単に言えば、それだけの話である。


評価は微妙。
書き飛ばしたエンターテイメント小説なので、こんなものだろうと思うが、あまりにも小説になっていない。
敵のコマンドが乗り込んできても、くだんの都職員の子供はおとなしく、最初から最後まで寝ている(笑)。ないてぐずることもない。
奥さんは非常に沈着冷静に夫を見送る、という按配である。
ありえない(苦笑)。
普通は、もっと葛藤があるもんだろうが。
ハリウッド映画でも、子供が泣き出して、その泣き声で敵のコマンドが気づいてしまい、しかし、その足手まといな家族のためにお父さん頑張る、が普通の展開である。
そうでなければ、ドラマにならん。

本作では、そういう葛藤が一切ないから、戦場描写が淡々と続く。登場人物の内面心理ドラマはまったくないのである。
うーむ。いわゆる小説になっていない、というべきか。

まあ、こんな作品は、それはそれでいいのかもしれない。
小説ではなくて、たぶん、活字で表現した劇画なのである。だから、これでいいのであろう。



最近も北方領土問題の進展がないので、安部さんの外交の失策だとかいう批判の声もあるが、基本的に戦争で領土を失ったら戦争でしか返ってこないと思うべきである。
そうかといって、今、日本がロシアに戦争をしかけても瞬殺であろう。
本土に攻め込んでくれば、自衛隊もそれなりに戦えるが、敵地を占領確保する能力はないのである。
だから、しばらく我慢するよりほかにない。
「いけいけ」という元気がよい掛け声を出す人も、中にはいるのであるが、どうにも理解しかねる。
こっちから手を出しても、また負けるだろうことは、現下の情勢では明らかである。まことにムネンだが。あいつら、戦争だけは、やたら強いからな。
そして、今度こそ北海道が危なくなる。
勢いのよい連中は、実は、過激な愛国派と見せかけた敵国のスパイではあるまいか?と思う次第。

歴史はまだ終わっていない。
つまり「次は必ず勝つぞ」でいいのである。
それまでは臥薪嘗胆である。
戦後70年未解決というが、70年でだめなら100年、100年でだめなら200年かけても取り返せ。
支那は、香港を99年で取り返したようだが、北方領土はそれよりかかると見るべきではないかな。
あきらめなけりゃ、いいのである。
「平和条約のないのは異常です」といい続けて、50年だろうが100年だろうが粘ればいいのである。
ロシア人がほとほと嫌になって、そうなったら、もっと言うべきである。そのうち、返すと言い出さないとも限らない。言うだけならタダのはずである。
国の主権というものは、そういうものだと思うのだがなあ。