Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

カジュアル・ベイカンシーⅡ

「カジュアル・ベイカンシーⅡ」J・K・ローリング

古本屋で下巻(Ⅱ)だけを見かけたのが、面白そうなので読んでみた。

舞台は英国のパグフォードという小さな町。ここで一人の議員がなくなり、その空席を巡って3人が立候補している。
この3人が3人共、かなり残念な人物なのだが、しかし田舎でそれなりの有名人となると、実際に立候補する人は限られるのだ(日本と同じだ)。
そして、その子どもたちが、親に輪をかけてひどい。
掲示板をハッキングして、親の秘密をバラし、街は騒然となる。
親も、子も、翻弄されている。

この物語は、クリスタルのためにある。
ろくでもないヤク中の母親のもとに生まれて、幼い弟を救おうと奮闘していた彼女のために。
そして、その意図とまったく反した結果となり、最後に自らに大量のドラッグを注射して死を選んだ彼女のために。
クリスタルは、弟を救うために、ろくでもない名家の息子を誘惑し、その子供を妊もうとしていたところだった。
その目を話したすきに、弟は川に落ちて死んだから。
だから、彼女は死を選ぶしかなかった。


貧困、暴力、ドラッグ。そして、登場人物たちの俗物性よ。
しかし、この街は、実は「私達の街」ではないか。表面はきれいそうにしているが、実際はどうなのだ?
そう訴える小説だ。
はっきりいって、すごい。
評価は☆☆。
読後に、ずっと残ってしまう。


ところで。
このJ・K・ローリングというのは、あの「ハリー・ポッターシリーズ」の著者なのである。
私は、あの小説を読んでいない。
テレビで、少しだけ映画を見た。なんの興味もない、子供向けの童話だ。
新刊が読めないというので、図書館にクレームが入りまくり、やむを得ず図書館はこの童話を大量購入する。すると、シーズン過ぎた頃には、何冊もハリーポッターが図書館に並ぶことになる。
バカバカしい公費の無駄遣いであるから、良い印象を持っていない。
早く読みたければ、買って読めばよいだろう。いったい、なんなのかと思うわけである。
その著者が、こんなヘビーな小説を書いているとは思わなかった。
やっぱり見くびるもんではないと思った次第。


さて、いよいよ東京も非常事態宣言。
零細企業のフリーランスIT技術者としては、そうそう出勤を自粛するわけにはいかない。
しかし、当面は土日勤務はない予定である。
もちろん、友人との飲み会もない。
当面は、ゆっくり読書をすることができそうだ。
そう思うと、自粛もまた楽しいのですなあ。