Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

アメリカ人はバカなのか

アメリカ人はバカなのか」小林至。

小林至といえば、東大卒でロッテに入団したが、残念ながら二軍から脱出することができなかったピッチャーだ。
直球が時速120キロしか出ないので、本人は「それでも押さえられる」と豪語したが、コーチはそう思わなかったらしい。
本当に試合では投げていないのでわからないが。
で、どうしたのかと思っていたら、アメリカに行ってTV会社に就職、ところがある日あっさり首になった。
その著者が、アメリカのヘンテコな制度や文化を切りまくった本。
タイトルは「アメリカ人はバカなのか」であるが、内容は「アメリカ人は救いがたいバカである」なので、タイトルもそのように直したほうがいいかもしれない。

金持ち優遇の税制、それでいて中産階級の税金は日本以上に厳しく、その上社会保障制度は低い。
民営化しても医療はバカ高く、医者は高給をむさぼり、それなのに藪医者ばかりいる。
なにかと言えば、すぐに弁護士。ごねた者が勝ち。
登録しないと投票用紙さえ送られてこない民主主義。
これじゃあ、そりゃ小林が呆れるのもムリはない。

ただし、ひとつ注意しておかなければいけないことがある。
本書でも触れられているが、アメリカは旧ソ連と同じく「人工国家」である。移民が造った国だ。
アメリカ人はいても、アメリカ民族は居ないし、合衆国の州の境界は直線である。その直線をまたぐと法律が変わる。
そのような異文化の人間が集まると、さて、いったいどのような国ができるだろうか?

日本人は、みんな平等が好きで、お互いに譲り合い、分け合うのを美徳とする。
じゃあ、たとえば支那人が大量に日本に移民してきて、民主党のいうように地方参政権を得て、地方自治を握るとすなわち教育委員会を掌握できて(だから日教組輿石東が執着する)その上、自分たちに選挙権を与えてくれた偉大な将軍様である小沢先生に忠誠を誓うユーゲントになって、それでもなお日本人は謙譲と思いやりの文化を維持できるだろうか?
つまり、他民族の支配を受けたことのない日本人同士の「あうんの呼吸」なんか、民族が違えばまったく通用しないのだ。
事実、日本はグローバリズムに苦しみ「グローバルスタンダードなんて変だ」と言うわけですが(それは分かる)しかし、日本的な尺度が世界に通用して、日本のデフレが解消するなんて話はあり得ないということだ。
現実は小説ではないんだから、理想を日本に発見して物を言うのを止めるつもりはないが、そもそも文化的な基盤つまり歴史が違うのに、あまり言うのもどうかと思う。

もっと言えば「異民族共存」の国家というシステムにおいて、じゃあアメリカ式以外の解決策ってどう?みたいな。
日本式は、日本だから良いので、おおいにそれで良いけれども、事情はそれぞれの国によって違いますよ、ということ。
どうだろうかね。

評価は☆。
素直に書いたんだろうと思う。現実を見た、そういうことだろう。
しかし、踏み込みは浅いように思う。

アメリカは階層社会で、欧州は階級社会で、日本は庶民社会である。
日本がいちばん暮らしやすくて良い国である。
日本の階層は、勝者のひとりじめを許さないし、日本の階級は天皇陛下以外は下っ端で、陛下にくらべりゃみんな庶民で、その陛下は栄誉はお持ちだが、権力はもたない。
素晴らしいシステムである。
だが、それもみんな、壊れようとしている。
当の日本人が、それを望むのなら、仕方がない。それは民主主義だが、はて、アメリカ式なのか、それとも日本式なのか?
日本そのものが壊れていっている不気味さを感じている私としては、アメリカどころではないのであるが。