昨日の都議選は、事前調査の予想をひっくり返し、楽勝と思われた自民党が大苦戦。
盟友の公明党と合わせても過半数に届かない、という衝撃の結果となりました。
大惨敗の予想をされていた都民ファーストの会は、総崩れになるところを踏みとどまり、31議席を確保。33議席の自民党に続いて、第2党のポジションを確保しました。
政界スズメは「終盤2日間の小池マジック」を騒ぎ立てております。
しかし、小池さんは体調不良から復帰したばかりで、街頭演説もできず、候補者の事務所訪問しがてら選挙カーの上から手を振るだけ。
「おてふり」で聴衆が歓呼するのは皇族くらいなものでありまして、私には小池さんがそこまで神通力を発揮したとは思えないのであります。
むしろ、無党派層を中心とした「反自民」票が、都民ファーストに流れ込んだのではありますまいか。
何を聞いても「安全安心のオリンピック」を繰り返す菅内閣に、都民はぜんぜん安全安心しなかったということでしょうな。
とはいえ、これも小池さんの戦略のうちでしょうか。
もともと都民ファーストの会は、自民には入れたくないが、さりとて共産に近い左派の立憲はイヤだという浮動層がかなりいるはずだ、という小池さんの政治勘で作られた政党です。
で、ずばり、その層が相当いたんでしょう。
立憲も上積みしましたが、都民ファーストと競合した地域では、都民ファが勝ったところが多かったような。
国政政党の第2党の存在感からすれば、立憲は「伸びきらず」が妥当な評価だと思いますね。
そう考えると「自民には入れたくないが、立憲は嫌だ」層をターゲットにした「立ち位置」を確保した都民ファーストをつくった小池さんは、やっぱり戦略眼が秀でている。
この人の特徴は、ずっと新党立ち上げのようなことが多い政界人生だったので、いわゆる組織票を基盤にした選挙をしない(できない、経験が乏しい)ことです。
そのときの「風」を掴んで戦うしか、新党はありませんので。
そういう意味で、組織選挙を中心とした正統派選挙戦とは遠く、風頼みのゲリラ戦をやるしかない。浮気な無党派層を見ながら戦いを続けてきたので、まさに攻城戦よりは野戦の将でしょう。
私は野戦上手な小池さんを「小池家康」と呼んだことがありますが(決して緑のタヌキだからではありません)野戦上手な家康とイメージがダブるからです。
もし戦国の世にあれば、間違いなく、天下を争う梟雄の一人になったのではないかと。
ともあれ。
小池さんは、これで都知事として、ポジションを固めました。
自公で過半数を取られたら、自分の予算案も通せない。自公予算を粛々と実行するだけの役割になってしまいます。
しかし、この議席割ですと、仮に無所属を自公が取り込んでも、ぜんぜん届かない。
予算案を通すには、都民ファーストと妥協するしかないでしょう。
共産や立憲と組めるはずがないですからなあ。
となると、一部の観測にある国政進出はないのではないかと思います。
確かに国政の議員がいないのは都民ファーストにとっては痛いのですが、しかし、国会議員に戻って今の知事以上の権勢を振るえるか?疑問ですからねえ。
あと4年間、小池都政に集中するような気がします。
ま、総理総裁の芽がほんとにあるなら、わかりませんけど。(苦笑)馬鹿げた大博打を平然と打つ人なので、そこから先は予測不能ですかねえ。