Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

弁護士アイゼンベルク

「弁護士アイゼンベルク」アンドレアス・フェーア。

女性刑事弁護士のアイゼンベルクは、夫と共同事務所を経営していた。夫は民事、アイゼンベルクは刑事を手掛ける。
ところが夫は若い女に浮気したので離婚することになった。
しかし、共同事務所を解散するのは双方にとって経済的なダメージが大きい。よって、今は元夫と共同事務所という形になっている。
娘もいて、元夫との仲は悪くない。元夫はとても有能で、ただ一点(若い女にもてる)を除けば文句のない人物なのだ。
そんなアイゼンベルクのもとにホームレスの少女が頼ってくる。
自分と一緒にいたホームレスのおじさんが逮捕されたので助けてほしいという。
アイゼンベルクは最初は取り合わなかったが(貧乏な被告人は国費弁護なので安い)その人物の名を聞いておどろく。
その人物はゲルラッハといい、量子物理学の教授で、かつて自分の恋人だった男だった。
アイゼンベルクはかつての恋人を救うために弁護を引き受ける。
そのゲルラッハは鬱のために供述がいい加減で、自分がやったと自白する。しかし、なにも新事実はなく単に検察の言うとおりにしゃべっただけだった
しかし、被害者にはゲルラッハのDNAが付着していた。
一方、コソボからドイツに入国してきた子供連れの女が、突如警官に追われる。女は不法入国を疑われたのである。
警官らは、女を派出所に連行するが、その派出所はただの古民家に派出所の看板を出した偽物だった。
女は警官のスキをみて逃走し、警官らは母子を追うなかで、事故が起きてクルマは川に転落。女の娘は溺死してしまう。
女は発狂する。

一方、ゲルラッハはホームレスの少女が自分へのアリバイ証言を拒否し、マックスと名乗る別の人物と同居を始めたと知ると、途端に態度を変えて自分は無罪だと主張し始める
調べてみると、ゲルラッハのアリバイは不確実ではあったが、その取り調べをした警官に不審な点があった。
その警官は、退職した元警官の兄弟であり、その元警官はかつてゲルラッハの学会主張で同じオーストリアにいたことがわかった。
そして、殺された被害者とも元警官に繋がりが見えてくる。
その元警官はニセ警官となって、コソボからやってくる母子を拉致したと思われた。
法定では、アイゼンベルクが次々と明らかにする事実によって、事実上検事はゲルラッハへの有罪宣告を断念する。
見事、アイゼンベルクは元の恋人を救い出したのだった。
ゲルラッハはお礼をしたいといってアイゼンベルクを誘い出すが、そこにはとんでもない事実が待ち受けていた。。。


ドイツのミステリであるが、ドイツ的な辛口の物語というよりはアメリカ的なハードボイルド路線に近い。
アイゼンベルクはすごい執念で事件の真相に迫っていく。
しかし、最後にゲルラッハの不可解な態度についての謎が溶けて大ドンデン返し、という趣向。
評価は☆。
うん、まあまあかなあ。
元夫との共同事務所という設定も面白いし、刑事弁護士としての法廷劇と捜査の両輪がうまく回っていく。
しかし、どうも、サイコパス的な真犯人みたいな展開はちと食傷でもあるのでねえ。

調べてみると、続刊も出ているらしい。
そいつも読んでみようと思う。
続刊が出たということは、まずまずの評価を受けたということである。
一巻で見放すことはないだろう。こっちも還暦がちかくなってきているので、気は長くなった。昔のように、さっさと切り捨てることはしないのだ(笑)
正直にいえば、出版不況で、新刊のペースがとにかく遅くなっており、特に海外ものは簡単に見放すと読むものがなくなるという事情もある。
なんでもネットで済む時代とはいえ、紙の本をしこしこ捲りながら物語を追う楽しみが減ってしまうのは残念で仕方がない。
とにかく、時代に合わせて生きていくほか、ないですからねえ。