Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

「報復」ジリアン・ホフマンと利益相反について

ミステリが好きで、良く読む。たいがい、手軽な文庫本。
とにかく、なんか読んでないと落ち着かないのだが、一番読み飛ばしできるし、気分転換になる。
たいてい、読み終わると何も覚えていない(^^;)

「報復」(ジリアン・ホフマン)は、この作者のデビュー作。
女性主人公は、司法試験前に自室に侵入した男にレイプされ、瀕死の傷を負わされて子供のつくれない身体になってしまう。
彼女は、この事件を乗り越えて検事になる。
12年後(だったと思う)連続殺人鬼の容疑者が逮捕される。その男は、なんと過去に自分をレイプした男。
利益相反で担当検事を降りなければならないところだが、彼女以外の検事はこの事件に詳しくない。
彼女は、過去の事実を隠して、担当検事になり、裁判で戦うことになる。
しかし、肝心の物証が見つからず、裁判は難航。そこに、意外な真相が。。。そして、怖いラスト。

これがデビュー作だというのに、なかなかよく練られたストーリーで、全く退屈しないで読める。
ただし、自分には、途中で真相が分かってしまって、ちょっと惜しかった。
5段階評価なら3点。

ところで「利益相反」だけど、会社にもある。
つまり、取締役の「忠実義務」というのがあって、役員は会社の利益のこと以外を考慮してはいけない。
たとえば、ニッポン放送の役員は、ニッポン放送の利益のことしか考えてはいけないので、大株主であろうとライブドアの利益を優先したら「忠実義務違反」でダメなのだ。
2社の役員を兼務して、一方の会社にとっては利益、もう一方の会社にとっては損害になる行為は「利益相反」と呼び、そもそも役員への就任そのものが上場企業では規制対象である。
よく知らない人が「会社は株主のモノなんだから、ライブドアの利益を無視した貸株行為はヘンだ」と言っているけど、逆にニッポン放送の役員がニッポン放送ではなくライブドアの利益を考えたら忠実義務違反になるのだ。
つまり、ライブドアニッポン放送が、現在では全く仕事上のつながりがないから、今は問題ないけど。
今後起こりえるケースとして、ニッポン放送ライブドアのコンテンツを制作するとする。
そのとき、安い制作費ですめば、ライブドアは利益が出るけど、ニッポン放送は儲けがなくなる。
これが「利益相反」である。
この場合、ライブドアニッポン放送の役員が兼務してはまずい。だって、どっちかの会社にとっては「忠実義務」違反になってしまうから。

裁判で言えば、自分で自分の弁護をするのは構わない。利益が一致してるわけだから(笑)
これが、なかなか難しいんだけどね。